Brahms 交響曲第2番ニ長調/悲劇的序曲
(ベルナルト・ハイティンク/ボストン交響楽団)


PHILIPS PHCP-11063〜6 Brahms

交響曲第2番ニ長調
悲劇的序曲

ベルナルト・ハイティンク/ボストン交響楽団

PHILIPS PHCP-11063〜6 1990年録音

こんな素晴らしい出会いがあるのだな。いくらクレンペラーが立派でも1950年台の録音、こちら目の醒めるようなクリアな音質、この人はオケの個性を素直に、無理なく引き出す天才であります。コンセルトヘボウやドレスデンと並んで、ボストン交響楽団との相性はよろしかったのでしょう。上品、クール、洗練されたサウンドやなぁ、こちらも細部ニュアンス入念なる描き込み(陰影も深い)つつ、恣意性を殆ど感じさせない中庸、自然な流れにほっといたします。威圧とか強面、強要無縁、ぼんやり聴いていると淡々と流れて、聴き手はそのまま流されているような安心感有。この人はいつも”弱音でもテンションが落ちない”んです。ボリュームを下げて聴いても、しっかり音量上げても印象はそう変わらない。昨夜、今朝、連続しても感動の質に変化はなし。フィル・アップの「悲劇的序曲」は馴染みでも、こんなに感銘を受けたのは初めて。

Brahms のヴェリ・ベストはギュンター・ヴァントの厳しく構築された演奏(1982-85年)と思ってきたけれど、ハイティンクの呼吸と懐の深さに新たな感銘を受け取りました。これは全曲ちゃんと聴きたいもの。(コンセルトヘボウの旧録音、ロンドン交響楽団との新録音も)(2014年9月「音楽日誌」より)

 Brahmsの交響曲は重厚立派過ぎてやや敬遠気味(とくに第1番ハ短調)4曲しかないし、長さも手頃な名曲でしょう。第2番ニ長調は明るく優しく、牧歌的で好きな作品です。もうすっかり高齢なBernard Haitink(1929ー)61歳の記録、二度目の全集は小澤征爾時代のボストン交響楽団でした。演奏会と並行して録音されたらしい。懐かしいPHILIPS録音も極上。

 第1楽章「Allegro non troppo(適度に快速調で)」鬱蒼とした全編を支配するシンプルな”ニ−嬰ハ−ニ”主題から、弦、ホルンはふくよか豊かな音で鳴っております。清潔に練り上げられたサウンド、これぞボストン交響楽団の魅力でしょう。提示部はもちろん繰り返し有、自然を感じさせる牧歌的な静謐、落ち着いた味わいが続く魅惑の楽章であります。やがて徐々に大音量に金管も時に控えめに盛り上がるスケール。木管は痺れるほど美しく、決然としたリズムも切れ味充分、適正を感じさせるテンポ、ハイティンクのムリのない語り口の上手さ、バランス感覚、けっして煽らぬていねいな仕上げが光ります。(21:42)

 第2楽章「Adagio non troppo - L'istesso tempo,ma grazioso(落ち着いてゆっくり、あまりはなはだしくなくー前と同じ速さで、優雅に)」ロ長調のチェロが鬱蒼と甘く歌う開始、絶品です。孤高に歌うホルンも同様、Brahmsのキモはチェロとホルンでっせ。やがて弦も参入して粛々とムリなく盛り上がって切ない魅惑の楽章。途中劇的に歌う弦の扱いも入アンス豊か、そういえば二管編成なんですよね、この作品、凄く立派に大きく響きますよ。静謐な終末もも味わい深い名残有。(10:04)

 第3楽章「Allegretto grazioso (Quasi andantino) - Presto ma non assai - Tempo I(やや速く優雅に(ほとんどアダンティーノのように)ー急速に、しかしあまり過ぎぬようにー最初の速さに戻る)」スケルツォ楽章だけど、流したように淡々シンプル主題。これは終楽章との対比を際立たせるためでしょう。落ち着いたテンポ設定、静かなところでもテンションが落ちないのがハイティンク、やがてシンプルな主題の二倍を刻んで変奏、この辺りはBrahmsの作曲技法の熟達です。(5:40)

 第4楽章「Allegro con spirito(元気よく生き生きと)」ゆるゆると静かに開始されるのは聴き手を油断させるため、即全合奏は歓喜の大爆発を迎えます。第2主題はぐっと抑制され、まるでMahlerの交響曲第1番ニ長調第1楽章冒頭を連想させる場面も静かに登場します。再び、静謐な冒頭主題が戻って再度、歓喜の大爆発!鬱蒼とした第1番ハ短調終楽章(≒歓喜の歌)よりずっとハジケて躍動する元気、生の喜び横溢な熱気が続きました。ハイティンクのフレージングはノリノリでも品を失わない、オケの威力を強調しない、爽快な爆発は響きが濁らぬもの。(9:10)

 「悲劇的序曲」ってどこが名曲?そんな不遜なイメージを抱いておりました。鬱蒼と劇的な主題(ここが好みじゃない)分厚いサウンドに聴こえるけれどこれも二管編成、なんとなく交響曲第3番ヘ長調に雰囲気似てますよ。ボストン響のホルンと弦が魅惑の音色、オケの余裕の技量に力みを感じさせぬていねいな仕上げ、立派な美しい演奏。中間〜後半の静かな抑制も好ましいもの。(14:58)

(2018年3月3日)

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written by wabisuke hayashi