Brahms ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品83
(ワルター・クリーン(p)/
ミラン・ホルヴァート/オーストリア放送交響楽団)


Request Record CE 11070 Brahms

ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品83

ワルター・クリーン(p)/ミラン・ホルヴァート/オーストリア放送交響楽団

Request Record CE 11070 (p)1977

 Milan Horvat(1919ー2014克羅地亜)がオーストリア放送交響楽団(現ウィーン放送交響楽団)の首席を務めたのが1969ー1975年、その辺りの録音でしょう。YouTubeに拝聴可能だけど、偶然入手した音源の詳細情報調査にはけっこう苦労して、これは珍しい音源、音質はやや曇ってまずまず良心的。Walter Klien(1928ー1991墺太利)は日本でもお馴染み、MozartやBrahmsの録音が高い評価を得ておりました。

 ピアノ・オブリガート付きの交響曲とも云われるスケール大きな4楽章の協奏曲、二管編成だけど例の如し、ものすごく立派に、豪華に響き渡ります。第1楽章「Allegro non troppo」冒頭のホルンの優しい呼びかけが印象的。これが軟弱な、ヤワく明るい音色も印象的、このオーケストラのやや芯の薄いサウンドを象徴している感じです。それに応えて静かに参入するピアノには剛直な風情皆無、ゴリゴリとした強いタッチとは無縁でした。切れ味鋭い打鍵に非ず、強面なスケールを強調せず粛々と管弦楽と対話する温和な表現であります。(17:25)

 第2楽章「Allegro appassionato」ここはスケルツォ、いかにも交響曲の風情を湛えて諧謔に非ず、深刻な切迫感漂うところ。ここも剛直重戦車風に非ず、ソロ管弦楽ともやや軽量、流れ重視な表現でしょう。ラストのテンポ・アップはやや落ち着かない。(8:50)第3楽章「Andante」冒頭のの主役はチェロ、切々に控えめに歌って、それにオーボエが絡み合います。開始2分半ほど、ようやくピアノが遠慮がちにアルペジオに参入、緩徐楽章はクリーンの内省的な個性に似合って深く沈溺し、情感の高まりも自然な語り口は絶品。この人は大きな協奏曲より、室内楽とかソロが似合う。この楽章以降トランペットとティンパニはお休みとのこと。(11:46)

 第4楽章「Allegretto grazioso - un poco piu presto」は爽やかに明るく、軽いピアノから始まりました。ここは上機嫌なBrahmsですね。哀愁旋律への暗転、テンポの落とし方も効果的、ピアノもオーケストラにも力みはありません。重厚長大表現に非ず、さっぱりとさらさらとした流れ、リリカルな旋律美を活かしたもの。切迫感緊張感には遠く、パワフル巨大をこの作品に求める方には”やや弱い”と感じられる演奏でしょう。ここしばらくBrahmsの威圧感に苦しんでいた自分にはちょうどよろしい。(9:02)

(2022年10月8日)

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written by wabisuke hayashi