Brahms ピアノ協奏曲第2番変ロ長調
(ゲーザ・アンダ(p)/フェレンツ・フリッチャイ/ベルリン・フィル)


DG 138 683 SLPMBrahms

ピアノ協奏曲第2番変ロ長調

ゲーザ・アンダ(p)/フェレンツ・フリッチャイ/ベルリン・フィル

DG 138 683 SLPM 1960年

 往年の巨匠Anda Geza(1921ー1976洪牙利)Fricsay Ferenc(1914-1963洪牙利)によるピアノ・オブリガート付き交響曲風作品。巨大なる協奏曲伴奏はシンプルな二管編成、しかも3楽章以降にはトランペットもティンパニもお休みするというのが驚き。音質は瑞々しく良好でした。フリッチャイ率いるベルリン・フィルは誠実な辛口サウンド、アンダのピアノは堂々として曖昧さのない、質実クリアなタッチとテクニック、ウェットな重厚や詠嘆を強調しないものでした。

 第1楽章「Allegro non troppo」茫洋たるホルンの呼びかけに、静かに目覚める重厚なピアノはしっとり落ち着いて知的、明晰かつ重心の低いしっかりアクセントと芯を感じさせるタッチを堪能できます。テンポは中庸、フリッチャイのオーケストラは水が滴るほど美しい深み、緻密なアンサンブルでした。Brahmsの旋律サウンドは一般にエラソーに鬱陶しさを感じるけれど、この楽章の懐かしい風情にはいつ聴いても感銘をいただけるところ。(18:42)

 第2楽章「Allegro appassionato」ここはもの哀しい内なる激情を秘めたスケルツォ。切迫して不安なピアノの呼びかけに、静かにオーケストラが応えます。力みのない凛々しいピアノ、技巧が冴え渡ります。(9:14)

 第3楽章「Andante - Piu adagio」しみじみ懐かしい主題がチェロのソロに提示され、弦とオーボエに引き継がれ、なかなかピアノが登場しない緩徐楽章(冒頭約2:30ほど)。ようやく満を持して静謐に控えめにピアノ登場。そっと寄り添う管弦楽団は絶品、やがて心の叫びを吐露するような切ない激しさを加えました。やがてチェロの静謐なソロが戻ってピアノとの対話、奥底に温かいものが静かに湧き上がりました。(12:05)

 第4楽章「Allegretto grazioso - Un poco piu presto」は晴れやかな表情に落ち着いた安寧、ピアノと管弦楽の優しくもちょっぴり哀しい対話。重厚な作風だけど、情感の高まりに重さを伴わないデリケートなピアノが続きました。(9:34)

 フィル・アップはBartok ピアノと管弦楽のためのラプソディ(フェレンツ・フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団/1960年)劇的に粗野、やがて詠嘆に充ちた泥臭い民謡風の「Adagio molto」(12:57)楽しげなリズムがテンポ・アップする、これもいかにもローカルな「Poco allegretto」(10:30)音質はまずまずだけど、ベルリン放送交響楽団はちょっぴり泥臭いサウンド。例の超絶技巧たっぷりだけど、この辺りはアンダの十八番ですよ。

 Liszt 演奏会用練習曲第1番変ニ長調「森のささやき」は晴れやかな技巧が冴えわたる小品。(1965年/3:36)

(2025年11月1日)

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written by wabisuke hayashi