Brahms 弦楽6重奏曲第1 変ロ長調/第2番ト長調
(メニューイン(v)/マスターズ(v)/アロノヴィッツ(va)/ウォルフィッシュ(va)/ジャンドロン(vc)/シンプソン(vc))
Brahms
弦楽6重奏曲第1番 変ロ長調 作品18(1963年録音)
弦楽6重奏曲第2番ト長調 作品36「アガーテ」(1964年録音)
ユーディ・メニューイン(v)/ロバート・マスターズ(v)/セシル・アロノヴィッツ(va)/エルンスト・ウォルフィッシュ(va)/モーリス・ジャンドロン(vc)/デレク・シンプソン(vc)
FIC ANC-72(EMIの海賊盤) 667円で購入(したはず)
Brahms の室内楽は、少しずつ楽しみで集めていました。6重奏曲は室内楽にしてはスケールが大きくてわかりやすい。初めて聴いた時からすぐ好きになった記憶があります。そのCDがこれ。メニューインやジャンドロンなど有名な人もいて、きっとどこかの音楽祭の流れで録音したんでしょう。現在ではもう正規のCDはなかなか手に入らないはず。ややデッドだけれど、音質良好。
スケールも、緊張感も暖かさもある演奏だと思うが、メニューインの第1ヴァイオリンにクセがあって、かなり気になります。キンキンとして耳障り。アンサンブルに溶け合わない。それでもこの演奏は嫌いではない。この曲はお気に入りです。
変ロ長調はBrahms 27歳の作品。ま、彼の作品なんでもそうなんですが、交響曲の味わい有。第2楽章の悲劇的な変奏曲を除けば、明るく希望に満ちた作風で楽しさが溢れます。第1楽章は、まるで交響曲の緩序楽章のような味わいがあって、ゆったりとした牧歌風の旋律がしみじみ。第2楽章は、なにかの映画音楽に使われていたはず。第3楽章はわずか3分ほどの軽快なスケルツォ。
終楽章の落ち着いてしっとりとした旋律には、噛みしめるような幸福感が漂います。チェロの朗々とした歌が美しい(ジャンドロンか)。これが、まさに「Brahms 節」とでも呼びたいなつかしさ。
ト長調の出版は33歳の時。「アガーテ」とは、実らなかった恋の相手のお名前です。第1楽章はそっと静かに、デリケートに始まるが、まるで「恋の不安」を表現するような少し屈折した旋律も有。Brahms は中低音の魅力ですよね。ヴィオラとチェロがBrahms 特有の重心の低い、渋い味わいを醸します。
第2楽章も、青春の胸の痛みを感じさせる切なくも甘い旋律。これがスケルツォ?(中間部からそれらしくなる)曲の性質から来るのでしょうか、第1番では朗々としていたアンサンブルも、ここではずいぶんと抑制されていています。第3楽章「アダージョ」もセンチメンタルで、不安げ。
終楽章は、恋の成就への期待でしょうか。やはりチェロが活躍して、憧れに満ちた旋律を歌います。全体として第1番よりメニューインのクセは目立たないが、そのぶんアンサンブルに精気が不足するようでもあり、そのバランスが難しいところです。
名手の集まりだけあって、ピッタリと息を合わせた親密なアンサンブルというわけには行かないが、個性的で数々の美しいところが発見できました。アンサンブルを楽しんでいる雰囲気。少々キズは許してあげましょう。(2001年2月9日)
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