Brahms 交響曲第4番ホ短調
(シュミット・イッセルシュテット/北ドイツ放送交響楽団)


Brahms 交響曲第4番ホ短調(シュミット・イッセルシュテット/北ドイツ放送交響楽団) Brahms

交響曲第4番ホ短調

シュミット・イッセルシュテット/北ドイツ放送交響楽団 (1962年頃?)

Saint-Sae"ns

交響曲第3番ハ短調 作品78 「オルガン」

ルイ・ド・フロマン/ルクセンブルク放送管弦楽団/ケマー(org)(1973年録音)

STRADIVARI SCD-6106 中古600円で購入

 VOX音源であり、Brahms は日本でもコロムビア・ダイヤモンド1000シリーズでLP化されておりました。近年、SCRIBENDUMでCD復刻した全集とは別音源とのこと。正直、一度聴いてみたかったSaint-Sae"nsのフロマン盤がお目当てだったが、ついでに収録されていたBrahms がなかなか楽しめた、ということですな。このレーベルといえば、どんより苦しい音質が特徴だけれど、意外とまとも(まし)なステレオ録音でしたよ。

 少々聴きすぎた作品(なんせ小学生から聴いていたからね。ベイヌムのLPで)でして、最近はどの演奏を聴いても鮮度不足〜それは自分の心の中で〜を感じていた罰当たり者でございます。しかし、この演奏は久々、横綱相撲というか、正統派というか、堂々と当たり前であって、いやぁ久々Brahms らしいBrahms 聴かせていただきました!(なに言ってんだか)的感銘受けて数回、繰り返して聴いたものです。

   テンポは速くもなく遅くもなく、ストレート系でバランス感覚溢れたもの。ややジミなオーケストラの響き、というより派手さの欠片もない練り上げられた渋い響きは、過度のテンポの揺れやらルバート、アッチェランドを伴わず、激昂しない第1楽章・・・って、ようはするに、かなりフツウっぽい(表情がオーバーじゃない)演奏か。でも久々にエエ響きのオーケストラを聴いたなぁ、という感銘が先に立ちます。色男じゃないが、男らしいというか、カッチリ芯があって重心が低い。(高倉健の世界か)

 第2楽章も同様。特別な”泣き”やら情感が先行するものではないが、諄々淡々粛々とした歩み、とにかくオーケストラが魅力的なんです。シュターツカペレ・ドレスデン、バイエルン放送交響楽団・・・この二つの独逸オーケストラは大好きですよ。でもさ、濃いめのブラック・コーヒーのような北ドイツ放送交響楽団だって一歩も引かない・・・練り上げられ鈍く輝く弦、くすんで木霊する野太い金管(とくにホルン)の魅力。

 第3楽章スケルツォ楽章も、微妙に抑えた味わいありまして、喧しくならない。生真面目一方だからユーモラスじゃないけれど、一徹な姿はカッコ良い。充分に活力があり、響きに厚みもあります。第4楽章は金管のクレッシェンドが圧倒的に厚みがあって、端正ながら詠嘆の表情もいつになく強烈であって、焦点は最終楽章であったことに気付かされます。

 背筋の伸びた表現であり、引き崩し一切なし。寂寥の旋律にふさわしい、辛口のサウンドがいかにもBrahms !って、やはりハンブルクですなぁ。これはもちろん東洋の片隅で音楽を聴いて、勝手に誤解している田舎ものの戯れ言でありました。ちょっとシュミット・イッセルシュテットを見直しちゃいました。そしてこのオーケストラは相当に優秀に間違いない。

 Saint-Sae"ns 交響曲第3番ハ短調のほうは、音楽日誌から引用して済ませましょう。

 広がりの狭いステレオ、鳴らない、痩せてスケール感のないオーケストラ、旋律の歌わせかたも素っ気ない〜これは予想通りでした。でも、妙にエッチな金管のヴィヴラートとか、そんな楽しみもあります。オルガンにはまったく迫力なく、ティンパニの響きは少々(いえかなり)お下品です・・・

 ヴォリューム調整の問題か、少々の音の割れも気にせず聴いているとそれなりの迫力も勢いもあって、感動しないこともない。この作品って「古典的」でもあり「Bach 的」でもあって、けっこう厳格ですよね。でも、やっぱり録音が良くない、オーケストラがヘロい、表現に腰が入っていない・・・トライアングルとかピアノはよく聞こえますよ。でも、やっぱオルガンが・・・しょぼしょぼ。

(2005年12月2日)


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written by wabisuke hayashi