Borodin 交響曲第2番ロ短調(クルト・ザンデルリンク/シュターツカペレ・ドレスデン)


Borodin

交響曲第2番ロ短調
交響詩「中央アジアの高原にて」

Tchaikovsky

幻想序曲「ロメオとジュリエット」

クルト・ザンデルリンク/シュターツカペレ・ドレスデン

CCC 0002342CCC  1960年頃の録音 16枚組4,980円で購入したウチの一枚

 1912年生まれで長く活躍したが、2002年とうとう引退したとのこと。メジャーな人気とは言えなかったが、硬派独墺系愛好家(日本に数多い)には尊敬され、高く評価されている巨匠中の巨匠なんです。ワタシも大好き。意外とレパートリーが広いが、どれをとっても彼の個性横溢で楽しめます。中途半端なものはないんです。これは壮年時代の録音だけれど、音も悪くない。

 ワタシはBorodinが昔から大好きで、「ダッタン人の踊りと合唱」「ノクターン」辺りは絶品ですねぇ。なんか、日本の小唄みたいな節回しが懐かしくて、そのワン・パターンぶりを激賞したい。交響曲第2番は、彼の代表作のひとつだけれど、ウチのBBSでは「やはりザンデルリンク」「いや、チェクナヴォリアンでは」「コンドラシンで」「クーベリック/ウィーン・フィルでしょ」なんていう論議もあり、ワタシはマルコ/フィルハーモニア盤を推挙。

 けっこう聴かれているんですね。さっそく手持ちのグンゼンハウザー盤(NAXOS 8.550238〜これは全集3曲)と、このザンデルリンク盤を確認しましたよ。ま、グンゼンハウザーは貫禄不足だけれど、ザンデルリンクはもの凄い、というか、まったく指揮者の個性方面に曲が引きずられています。

 「やっぱ、一流の作曲家と認められるには一発交響曲を作らないと」と、西欧をお手本としていた作品なら、この演奏はまったく正しい。旋律は東欧のエキゾチックな味わいだけれど、演奏ぶりはまさに硬派独墺系バリバリの立派なもの。ワタシ、この曲はクサい旋律連発で「交響曲になりたくて、なりきれなかった妖怪人間ベム」のようなアヤしげ作品の魅力だと思っていたのに、怒濤の正統派交響曲に仕上がっていて驚愕。

 人間、なにごとも中途半端はいけないから、これはこれで立派です。旋律表現の堂々たる雄弁さ。ゴリゴリと低音が厚い、貫禄タップリの表現。さすがシュターツカペレ・ドレスデンの艶消しの魅力。禁じ手だけれど、認めざるを得ない圧倒的説得力。思わず感動しちゃいました。でも、なんか違うなぁ。

 「中央アジアの高原にて」〜これは、更にその上を行く徹底表現。「全然、おもしろいと思ったことはない」とBBSに書き込まれるほどの不人気曲だけれど、ワタシは養護してきたんですよ。クサ過ぎのシンプル旋律〜しつこいくらいの繰り返しの美。この苦行に耐えきった時、甘美な世界に変貌します。(ホンマか?)

 だから、この曲は安易でチープであるほど説得力が生まれるんです。〜と、いうことでザンデルリンク書類審査失格。これは、中央アジア高原を過ぎ行くドイツ戦略部隊ですな。まだ、戦争は始まっていないが、粛々と進む大戦車部隊。司令官ザンデルリンクは、砂漠の果ての敵地を双眼鏡で眺めています。

 これも「もうダメダメ!」と、抗いながら組み敷かれてしまう魅力爆発。いけません。こんな誤った演奏に感動しちゃっては。

 これがTchaikovskyになると、もっと音楽そのものが洗練されているせいか、まったく違和感はないんです。甘く多彩な旋律には西欧的普遍性があって、引き締まったドイツ系アンサンブルで重々しく表現されると、胸にググっと迫る。圧倒的スケール感と深み。自信に溢れた雄大で朗々とした歌。

 ややつかみどころのない「ロメ・ジュリ」が、細部まできちんと表現されて新鮮な発見があります。オケは耳目を驚かせるような派手さはないけれど、じつは充実実力派なんです。ほんまに美しい。(2002年7月5日) 


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written by wabisuke hayashi