Shostakovich 交響曲第5番ニ短調 作品47
(バーンスタイン?/ウィーン・フィル?1979年5月28日ライヴ)
Shostakovich
交響曲第5番ニ短調 作品47「革命」
バーンスタイン?/ウィーン・フィル?(1979年5月28日ライヴ表記)
Prokofiev
交響曲第1番ニ長調 作品25「古典」
アバド/ヨーロッパ室内管(1986年ライヴ)
ANF LIVECLASSIC BEST100 LCB-027 500円
2006年再聴です。このCDを購入したのは1990年代中盤であって、一時はあちこちのホームセンターでシリーズ「@1,000」にて売られておりました。玉石混淆状態で、演奏ともかくあまりに酷い音質故、早々に手放したものも沢山あります。この作品、日本ではたいへんな人気で「Shostakovich版”運命”」的位置付けでしょうか。ワタシは広く愛される作曲家の作品を拝聴する謙虚さを失わないようにしているつもりだけれど、一般に彼の音楽は苦手系なんです。(それでもCDはそれなりに揃えている!)ごめんなさい。この作品はその代表格。
このCD音源の経緯は以下↓の通り。ディスコグラフィを参照すると、1979年5月27日ライヴ録音が存在し(FIRST CLASSICまたはsaradana)、おそらくは以下の情報をいただいた方からだと思うが、そのMDコピーを送っていただきました・・・なるほど、もう少しテンポやフレージングに粘りや凄み重み+大爆発があって、”いかにもレナード・バーンスタイン”的スケールの大きな演奏であります。
このCDの情報を信じれば「その一日前のブート・レグ」ということになるのだろうが、もっと端正な味わいもあって印象はかなり異なりますね。”粘りや凄み重み+大爆発”ではない感じ。おそらくは(元々がエエ加減なる海賊ライヴ・シリーズだから)誤った情報でクレジットされたのか、故意か?それとも、音源供給した胴元から引き継いだのか。いずれ、ま、優秀録音にはほど遠いが、鑑賞に差し支えないほどの音質だし、なにより演奏がなかなか優れていると思いましたね。(聴衆の至近距離の咳と、盛大なる拍手有)
「実はスヴェトラーノフ=ソビエト国立SOらしい・・・」との貴重な情報もあるらしいが、どうなんでしょう。オーケストラの色合いはロシア系ですか?(例えば強烈な金管ヴィヴラート・・・第1楽章/終楽章のホルン・トランペットはそれらしく響くが。間違いなくウィーン・フィルではない!)・・・ま、こんな話題は、マニアにとっては当たり前の、笑止千万なる結論が出ているかも知れませんから、ド・シロウトは触れんほうがよろしい。
演奏は集中力もあって立派ですよ。「こんなのバーンスタインじゃない。一聴して絶望」とのメールをいただいたけれど、バーンスタインではないのはともかく、絶望するような演奏ですか?中庸のテンポ、劇性を極端には強調しないが、流れとバランスはよろしい感じ。オーケストラの力感にも迫力にも不足せず、薄さを感じさせません。余裕さえ漂って(たいていは第1楽章途中で”まいった!”してしまうワタシだけれど)けっこう、最後まで、抵抗なく楽しめました。意外と素直な演奏なんです。粗雑な、洗練されない響きではない。
第2楽章のスケルツォというか、無骨なるワルツもユーモラスでにぎにぎしく、軽妙(?)・・・ではなくて、躍動感もあります。第3楽章「ラルゴ」だって、息が詰まるほどの緊張感方向ではなく、美しい緩徐楽章としてクールな集中が継続しました。テンポの揺れが予想より少ないんです。終楽章が、ワタシにとっていっそうの難関でありまして(こどもの頃見たはずの連続ドラマ「部長刑事」テーマであった)一般的にはやかましいというか、やりすぎというか(よろしくない意味で)”予定調和”的というか、決まり過ぎというか、気恥ずかしいというか・・・
速めのテンポで疾走して、大爆発に破綻しない。”強制された歓喜”だかなんだか知らんが、むしろ爽快系(?う〜む、暑苦しくはない、という意味で)演奏であります。先に触れたようにトランペットの硬質な響きと、激甘ヴィヴラートのホルン(スタジオ録音ならもっと至近で録って欲しかった)を楽しみつつ、存分に盛り上げて下さって聴衆は大興奮でした。この作品を楽しめたのは、ずいぶんと久々。
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ちょっとムリムリな組み合わせであるアバド/ヨーロッパ室内管弦楽団、こちらはほんまもんでしょう。広がり感も奥行きもある聴きやすい音質だし、爽やかでストレートな作品と、優秀なアンサンブルが見事に融合しております。若々しく、これこそ”爽快で躍動する”ノリノリの演奏。楽しさいっぱい。 (2006年3月4日)以前のコメントは↓そのまま
*更新、即BBSでコメントをいただき「アルヴィド・ヤンソンスの演奏に似ている」とのご意見をいただきました。
メールで情報をいただきました。
「アルフォンソと申します。はじめまして。
ホームページをいつもたのしく読ませていただいております。
さて、件名についてショスタコの5番バーンスタイン盤は実はスヴェトラーノフ=ソビエト国立SOらしい、という話をききました。私も2・3年前に購入した時「おかしいな」と思った記憶があります。ただこの情報も絶対の確実性はありません。
では仕事中につき、またメールいたします。取り急ぎでした。」
おお、そんな可能性も有?どなたか教えてください。
引き続き、情報をいただきました。「こんなのバーンスタインじゃない。一聴して絶望。捨てました」とのこと。もとより、ワタシ、ショスタコもバーンスタインもあまり聴いたことがないので、それなりに納得して聴いていたんですが、そんなにひどい演奏ですか。これ。
・・・・・と、いうことで反省して聴きなおし。演奏者表記がいい加減なのは困りものですが、だからといって捨てるのはもったいない。この度、ホンマもんの「バーンスタイン/ウィーン・フィル1979年ライヴ」の録音(MDに落としたもの)をいただいたら、こりゃたしかに大違い。(集中力が高く、アンサンブルはむしろ繊細。テンポの動きも効果的で、かなり「目ウロコ」演奏)知っている人は知っているんだなぁ、と感心しました。
で、再度そんなこんなを知ってしまったので、再聴してコメントします。
音質の件。この手の「ブート・レグ」では出色の水準でしょう。会場ノイズも生々しい。あくまで「ブート・レグ」としては、ということですが。冒頭、弦の響きが少々潤いに欠けます。というのも、ホンマもんを聴いたあとなのでいえることであって、天下のウィーン・フィルだって調子悪いことはあるでしょ?録音も録音だし。(なんて言い訳)
金管が無遠慮で強力なのは、やはりロシア風か。アンサンブルはややラフながら、テンションは高く、けっこうアツく、集中力もあります。木管が繊細なのは意外で、これは悪くない。
第2楽章「スケルツォ」(表記アレグレット)の軽快なリズムもいい感じ。ここだけ聴けば、イメージ的に「ロシア風」の粘りはない。但し、金管はやはり強烈でウィーン・フィルではないなぁ。たしかに。
第3楽章「ラルゴ」は、弦の幽玄な響きが聴きもの。ザラつきはあるが細部まで入魂で、雰囲気有。この楽章は気に入りました。木管は引き続き快調。Mahler に近い世界であることを初めて実感しました。
終楽章は、ややテンポ遅めで堂々とした入り。即、テンポ・アップして流れに乗ります。金管はわかりやすいロシア風強烈さ。ホルンは絶対にマネできないヴィヴラートが素敵。ラストは、やや音の薄さが気になって思ったほど盛り上がりません。これは録音の加減でしょう。その証拠に、観客の熱狂的な拍手が凄い。
全体としてアンサンブルもそう悪くないし、オーケストラの力量も感じさせて(但し、そう洗練されてはない)良い演奏だと思います。誰の演奏であろうが、ま、この曲にとって不足はない。この類の録音の例に漏れず、奥行きと潤いは足りませんが、ちゃんとした録音だったらかなりの満足度かも知れません。
・・・・と、いうのもワタシがこの曲に対して愛情が足りないからで、バーンスタイン/ウィーン・フィルのライヴを聴くと、たしかにそのアンサンブルの美しさ、凝縮された集中力の凄さ、爆発力は尋常ではない。
ちなみにムラヴィンスキーの録音も聴いたことはなくて、日本におけるこの曲の人気を支えたであろう代表的な演奏は耳にしたことがないのでした。お粗末。(2000年8月25日更新)
恥ずかしながら、以下が以前から掲載していた内容。ま、バーンスタインもスヴェトラーノフもあまり聴いたことがなかったので、てっきりこんなもんだと思っておりました。いい加減なものです。こんなHP開いていながら、ちゃんと聴いていないのがバレバレ状態。正直に掲載しておきます。以下、恥を忍んで・・・。
ショスタコの5番はあまり好きな曲じゃないし、なんか、いかにも大衆迎合の雰囲気がいやなかんじ。でも、中学生の時に聴いたコンドラシンのLPには、ほんとうに感動したものです。(いまはDATに保存)その後、シルヴェストリ/ウィーン・フィルのアクの強い演奏を愛聴。
CDではスロヴァーク/スロヴァキア放響(NAXOS)が一枚あればOK、と思っていたんですけどね。そういえばロジンスキーの「怒れる演奏」のCDも持っていたなぁ、しばらく聴いていないけど。ん、アンチェルのもありました。いまの時代に流行らない曲なのでしょうか。
こういうCDは、録音の良し悪しがポイント。モノながら、まぁまぁガマンできる水準。SONYの正規盤では新旧ともNYPOとの録音でしたから、ウィーン・フィルとの組み合わせも楽しみ。→NYPOとの演奏なんて、聴いたこともないくせに・・・
さすが、というか構成力抜群でスケールも大きい。バーンスタインは、神経質にアンサンブルを細部まで徹底する人じゃないですよね。ここではライヴだし、当然「勢い重視」。ウィーン・フィルとの相性は良いようで、いつになく反応が早い。オーケストラの美しさは際だっていて→この評価がおかしい・・・、とくに木管がすばらしい。
力強く、テンポの動かしかたも堂に入ったもので、ゴリゴリとオーケストラを煽るところもピタリと決まっている。確信に満ちたというか、手慣れたというか、自信たっぷり。完成度は高い。立派。納得。盛上。凄い拍手。
・・・・・・・・・・だけどこの曲、やっぱりつまらない。とくべつに棚から取り出して聴きたいとは思いません。全国260万バーンスタイン・ファンの皆様ごめんなさい。日本ショスタコヴィッチ愛好会の皆様、許して下さい。
プロコフィエフは、うって変わってスッキリ爽やかな演奏。録音もかなりマシ。海賊盤としては出色の水準。→冒頭、音源のせいか、音が揺れて乱れます。
アバドには興味ないけど、ベルリン・フィルやウィーン・フィルとの演奏より、ヨーロッパ室内管のほうが相性よろしいと思います。バーンスタインとあまりに対照的な音楽で、違和感は相当・・・そこが「海賊盤」たる所以でしょう。ワタシはこれで良いと思います。
この曲は古典的でシンプルな衣装をまといながら、じつは難曲。オーケストラの素の力量がそのまま出てしまう曲なんです。ここでもECOは快調で、クセのない明るい音色が軽快です。リズムが弾んでいるのも嬉しい限り。
アバドはLSO時代が良かったなぁ。なかなか系統的に復活しないのが残念。
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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