Dutilleux メタボール(5つの変遷)
Berlioz 幻想交響曲
(チョン・ミュンフン/パリ・バスティーユ歌劇場管弦楽団)


DG UCCG70062 Dutilleux

メタボール(5つの変遷)

Berlioz

幻想交響曲

チョン・ミュンフン/パリ・バスティーユ歌劇場管弦楽団

DG UCCG70062 1994年録音

 これは鄭 明勳(1953-韓国→亜米利加)がパリ・オペラ座バスティーユ音楽監督在任1989ー1994年ラストの頃の録音。1960年前後昔のカール・シューリヒトとかマニュエル・ロザンタールの録音を思い出せば、オーケストラはずいぶんとかっちりとキレのあるアンサンブルに変わったと感じます。サウンドは軽く華やか。

 「メタボール」とは代謝の意、メタボのことですね。1965年ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団により初演。あちこちけっこう録音もあります。ドデカフォニーによる変奏曲〜んなこと云われてもド・シロウトにはさっぱり?本家のScho"nberg辺りを思い出すと、緻密に自在、神妙神秘に多彩な響きには晦渋さや破壊的な雑音は存在しない、カッコ良い作品。アンサンブルには軽妙な切れ味、緻密そのもの。Incantatoire(3:17)Lineaire(3:30)Obsessionnel(2:58)Torpide(2:44)Flamboyant(3:59)

 幻想交響曲は仏蘭西のオーケストラには必須のレパートリーでしょう。この革新的な作品の初演は1830年、Beeやんの「第九」初演のわずか6年後ですよ。二管編成だけどティンパニ4台に打楽器は5種?ハープ4台?セルパンとかオフィクレイド?見たこともない楽器も使用されているらしい。
 第1楽章「夢、情熱(Reveries, Passions)」 提示部繰り返し有。独墺系芯のあるサウンドとは違って、神妙な始まりはマイルドに淡い色彩に華やか、かなり力強いところにもクールなデリカシーを感じさせるもの。主部は速めのテンポに疾走して、さっぱりした軽量軽快でした。ティンパニの迫力は際立ちます。(14:55)
 第2楽章「舞踏会(Un bal)」 に色彩を添えて大活躍のコルネットは必須。小粋な風情にワルツは優雅に流麗にさらりと流してラストは快速の追い込み、ここはステキなところ。(6:10)

 第3楽章「野の風景(Scene aux champs)」小学生?時代から馴染みだったこの作品中、一番苦手とした緩徐楽章も華麗なる加齢とともに嗜好は変わりました。イングリッシュホルンとオーボエの静謐な掛け合い、弦の優雅な囁き、ティパニによる遠雷、こんな瞑想的な風情は大好きになりました。ここも軽く芯のない淡い響きがいかにも仏蘭西風。(15:24)
 第4楽章「断頭台への行進(Marche au supplice)」ティンパニと金管によるデーハーな行進曲はこの作品一番の聴きどころ。大音響も暴力的に至らず、バランス感覚を失わぬクールさ。ここはリミッター外してもっと爆発を!求める人はいらっしゃることでしょう。ティンパニの迫力は際立ってなかなかカッコよろしい。(4:31)

 第5楽章「魔女の夜宴の夢(Songe d'une nuit du Sabbat)」ここは「イデー・フィクス(固定観念)」が異様に醜くデフォルメされてリズミカルにスウィングするところ。鐘の音色は自然に効果的。軽く速めのテンポにさっぱりとしたテイスト、金管は叫んでもマイルドに刺激的にならずティンパニの迫力は相変わらず際立って、ユーモラスな木管の対比も上々の表現にグロテスクを強調しない。ラストに向けてノリノリのアツさを増しまして、アッチェレランドの締め括りも決まっておりました。(9:39)

(2024年11月2日)

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written by wabisuke hayashi