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ベルリン通信と対話2001


ベルリン在住の方とのメール対話です。興味ありますか?お蔵入りしていたものを、このたび了承を得て掲載する運びに・・・2年ぶりに日の目を見た「対話」です。

今晩、Haitink+ベルリン・フィルのコンサートに行きました。が、つまらなかったです。
それにオーケストラが雑だし。あんなこともあるんですね。もともと、Sanderlingが 振る予定だったのですが、キャンセルをして、彼に。

曲目はシューマンの『ゲノヴェーヴァ』序曲(これはまぁまぁ)、シューマンの チェロ協奏曲(リン・ハレル独奏)、休息後はブラームスの交響曲第二番。 協奏曲は文句無しに、つまらないし、ブラームスもかなり雑で、恐らく二軍 でしょう。

彼の実力ってあんなもんなのでしょうか?(ライブで)


(hayashi)

 天下のベルリン・フィルも手抜き演奏することがあるのでしょうか。ハイティンクもピンチ・ ヒッターということで、ちゃんとリハーサルをしなかったのかな?ベルリンの観客は 耳が肥えているでしょうから、ブーイングが出ましたか?

 お勧めのコンヴィチュニーですが、「田園」を聴いてどうしても納得できません。


先週は一週間、風邪をひいていまして、家で沈没しておりますた。メールの遅れ 申し訳ありません。

Haitinkのベルリン・フィルのコンサートでしたが、お義理の拍手でしょう、さくらのブラボー もありました。

月曜日には楽しみにしていた、ベルリン・フィル+ザーヴァリッシュのコンサートも 非常に良かったです。期待していた以上のもので、ベルリン・フィルも非常に美しく鳴って いました。職人ザーヴァリッシュも流石。

曲目は、ハイドンの交響曲第60番 『うすのろ』、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(F.P.ツィマーマン)。 休息後はおなじみRSの『家庭交響曲』でした。この曲は以前、ナガノで聴いたの ですが、やはりザーヴァリッシュのほうが一枚も二枚も上手。年輪の差の勝利。 チャイコフスキーはツィマーマンのヴァイオリンが素晴らしく美しかったですね。

特に、低音はぞくぞくするくらい美しく、柔らかく、透明でかつ、情に溺れていない 音でした。当日は湿度がややあったので、ハイドンはややつまらなく聞けましたが、 構成が面白かったです。

コンヴィチュニーのBeethoven ですが、HP拝見しました。

ああいったスタイルはコンヴィチュニーは良いと思いますが、駄目ですか。 やくざじゃない演奏といわれれば、スィートナー、クリュイタンス(もう何年も聞いて いないのでなんとも詳細はわかりかねますが)、クリップス、ケンペ、クレツキ 当たりでしょうか。これらに共通することは、彼らの芸風が「効果のための効果」 を決して狙っていないということです。落ち着いて地に足着いていて、指揮者が 音楽家の前にしゃしゃりでないといことでしょう。

ハイドンの後継者としてのベートーヴェンの解釈であって、ベルリオーズ、ヴァーグナー の先駆としての解釈ではないのです。
こういったものは確かに先入観が多く持って聴くと、緊張感が足りなく、つまらなく 聞こえるのは私も認めますが、Beethoven だっていつもむっつりしていた訳では ないでしょう。微笑む時もあったであろはずです。言わば「女性的な?」演奏も 攻撃的な解釈に慣れてしまった今から考えると結構新鮮ですよ。

本日ラジオで放送したところによりますと、StaatsoperDresdenの新Chefには Haitinkが就任するようです。


(hayashi)

 風邪ですか?ウチの職場でも相次いでダウンが発生。今年の梅雨はきつくて不快な んです。体調も崩しがち。ワタシは連日の激残業出張にも負けず、元気です。ご自愛 を。異国の地で独身だとなにかと不如意でしょう。(それとも親身になって介護して くれる、青い目の彼女でも存在するのか)

 サヴァリッシュ/ベルリン・フィルという組み合わせは、ナマならぜひ聴いてみたいですね。(CD だと手が伸びないかも)ベルリン・フィルはずいぶん音が変わった、とのウワサを聞きましたがいか がなもんでしょうか。

 クリュイタンス、クリップス、ケンペ、クレツキ・・・いずれも好きです。但し、 クリュイタンスはこうして21世紀にCDで聴くと、表現が平和すぎる印象がないでもな い。オーケストラの威力は圧倒的・・・だけれど、指揮者との個性と食い違いがある。「ハイドン の後継者としてのベートーヴェンの解釈であって、ベルリオーズ、ヴァーグナーの先 駆としての解釈ではない」〜なるほど。ワタシはハイドンの聴き込みが足りない自覚 があるので、そうかもしれません。

 たしかに、ワタシが中学生の時に聴いたコンヴィチュニーの第7/8番。痺れており ました。これが初体験。で、数十年ぶりにCDで聴くのは少々怖くて手を付けていな かったんです。で、ようやく聴いてみると、ほぼ記憶に忠実で、剛直、ガンコ、虚飾 も色気もなし、地味・・・・で、少年の耳にはこれが良い経験だったと思います。こ こでは「音がスカスカ」といった印象はない。

 細かい点では、オーケストラの響きが(記憶より)薄い、アンサンブルが粗い(響きが濁るこ とがある)、これは音質の問題かも知れません。(音源の劣化、デジタル化における音 質の変化、オーディオの向上による細部の聴き取り)それと、LPでは提示部の繰り返 しがなかったはず?

 ワタシはハイドンに対する特別な嗜好がなくて、バロック〜モーツァルトあたりの 古楽器の軽妙、溌剌、自発的演奏と同列にとらえているので、Beethoven への流れが理解 できていないのです。この辺りはもっと勉強しなくては。

 ホーレンシュタインのVOXセットを購入したら「天地創造」が入っておりました。 (フォルクス・オーパー)パツァークのソロが、いつものまったくのパツァーク節 (つまり、やや調子外れ)で、とても面白い演奏。もう少し、真面目にハイドンを聴 くことにしましょう。


風邪のほうは回復しましたが、暑い。よって体調もやる気も低下。一体夏というのは 何の爲にあるのやら・・・

ベルリン・フィルの今の音は全く好きでは有りません。巧いだけで。だから今回のザーヴァリッシュ の演奏はかなり好感を持てました。以前にはザンデルリンクくらいでしょうか、ベルリン・フィルで 感動したのは。因みに、ヴァントとはベルリン・フィル、相性悪いです。

クリュイタンスのBeethoven はHPで誉めていらっしゃったような気がしますが。 やはり、これはEMIのへぼい録音のせいもあるのでしょうか?私は気に入りませんでしたが。

コンヴィチュニーのBee7はあの全集の中では気合が入って豪快な演奏だと思い ましたが、やはりだめでしたか?なぜか、旧東ドイツの指揮者による全集のなかの Bee7はどれも凄い演奏ばかりですよ。ケーゲルしかり、コンヴィチュニーしかり、 スィートナーしかり、ブロムシュテットしかり、クライナートしかり。


(hayashi)

 最近読んだ雑誌の中で、アバドのBeethoven の演奏評が載っていて、指揮棒に対する 音の立ち上がりが非常に鋭敏になっていることが指摘されておりました。棒を指示し てから、実際に音が出る迄のタメ、ズレ、が独特の響きの厚み、コクになっていたこと は、フルトヴェングラーでもカラヤンでも変わらなかったとのこと。

 ワタシは最近のベルリン・フィルの録音を聴く機会は滅多にありませんが、「ただ上手いだけ」に なっていましたか。アバドの功罪は、世間での評価は別として、いろいろあるんです ねぇ。1992年3月31日〜4月1日にチェリビダッケは数十年ぶり、そして最後となった ベルリン・フィルを指揮していますね。Brucknerの7番。ワタシは偶然にFMエア・チェックしてお り、これは素晴らしい演奏でした。(シャウシュピール・ハウス)

 チェリ自身は「ベルリン・フィルは昔のベルリン・フィルではない」と言ったそうだけれど、いつもの甘く官能的な 響きは影を潜めて、厳しい、いわゆるドイツ的な味わいの響きに変貌しております。 例の微速前進スタイルで、アンサンブルは相当なものだけれど、完璧とは言えず、指揮者と の違和感が感じられます。チェリの厳しい統率に反発していたのでしょうか。ときど き反逆者も出るようで、静謐で繊細なアンサンブルの中から、信じられないほどセク シーなフルートが朗々と歌ったりして、これはパユでしょうか。緊張感と違和感が微 妙で、これほど新鮮なBrucknerは滅多にない。

 演奏スタイルは時代を反映しますので、棒の技術が優れている(代表例;小澤)だけ の指揮者がこれからもオーケストラを変えていくのでしょうか。天下の名器ベルリン・フィルはラトルのも とで新機軸を発揮できるのか。ドイツやオーストリアのオーケストラが、すべてアメリカのオ ケのようになってしまうのは困りものです。

 ヴァントもダメですか。日本でもアバドはダメ、という評価は固まってしまっ て、ベルリン・フィルならヴァントだ、ということになっています。ワタシはヴァントは昔から好き ですが、逆に昔のほうが好きですね。ケルン放響とのBruckner辺りは欲しいと思って おります。

 コンヴィチュニーのBEE7は決して悪い演奏ではありません。クリュイタンスの演奏 はHP執筆以来聴いておりません。クリップス、ジンマン、そしてシェルヘン辺りで しょうか、Beethoven はその辺りまでしか聴けません。アタマが硬くなっているのか も。


若い時のアッバードの指揮は非常に勢いがあって、見直しました。 (ヒンデミット:Weber変奏曲、LSO)非常に明晰で、何か新鮮さがありました。

チェリビダッケのBru7ですが、あれは、フィルハーモニーでははく、当時の シャウシュピールハウスですか?今は、コンツェルトハウスと正式名称を 変えましたが、旧東ベルリンの場所にあるコンサートハウスです。

最近自分が聞いて、ドイツのオーケストラも非常に巧くなりましたが、有名でなくても 地方のオーケストラやややマイナーなオーケストラはいまでも、その良い意味でのローカル色を 出していると思います。ベルリン響(旧東;インバルがシェフ)、ギーレンやロスバウト でおなじみのSWR響、指揮者にもよりますが、シュターツカペレ・ベルリンや ベルリンドイツ響などです。昔の音色が無くなってしまったというか変わってしまった のはバンベルク響やGOLでしょうか。残念です。もっともそれをひきいる指揮者に よって自在に変わるはずでしょうが。

ケルン放送響のBrucknerは気骨さと骨太さ、頑固一徹職人によるなたでわった ような演奏です。NDRのも勿論音色は綺麗なのですが、ケルンのも私は大好きです。

HPに最近書かれた、セムコフってJerzy Semkovのことですよね?最近たまたま プログラムをみていたら、BSO(ベルリン響)に5月中旬に客演をしたようです。 モーツァルト、サン・サーンス、チャイコの4番だったそうです。


(hayashi)

 名前が通っていなくても、味わいのある個性的な団体はいくらでもある。完成され ない若手の未知の可能性の魅力は特別、という音楽を聴く原点みたいな結論ですね。 ワタシもアバドはLSO時代迄か、と思っております。

 世界的な不況、そして音楽業界を取り巻く状況の変化によって、新録音は本当に少 なくなりました。録音業界では完全に復古主義というのか、経費が掛からず、しかも 売れる、ということなのでしょう。ヴァント、とかダヴァロスのCDが華々しく宣伝され ていた頃「最後の巨匠」(いったい「最後」がどのくらい続くんだ)という文字が雑 誌に踊っておりましたが、意外と真実を突いているかも知れません。「巨匠不在」の 時代。

 CDでもそれなりに音楽は楽しめます。(というか、実際上ワタシは、そして日本人 のほとんどはそれ中心で)NET時代を迎えて、ワタシのHPのような怪しげなのも含めて 「主観的な情報」は多彩な交流が続いているが、音楽は自分の耳がすべてでしょう。 つまり本質は変わらない。但し、ワクワクするような若手・新人登場の手応えはなく なってしまった感じ。

 諏訪内さんという魅力的な(写真で見る限り容貌が)ヴァイオリニストが登場して いるが、ワタシにとってアイドルではあるが、音楽は聴いたことはありません。FMを 聴かなくなった、ということもあるでしょう。もっと気軽に、下世話に、クラシック 音楽を聴く姿勢を持ちたいもの。逆に日本の流行歌業界では、ストイック度合いが高 まってきて、水準が高い音楽が生まれています。(きっとそんなサイトはあると思う が、詳細コメント分析できる自信も自分にはあります)

 先日は岡響の建部町演奏会、明日は岡大響サマーコンサート、ま、そちらのコン サートとはえらく異なるが、ワタシの気持ちの中では同じつもりなんです。日本は不 況だけれど、HPを見ると信じられないくらいたくさんのアマ・オーケストラが活躍しているし、もち ろんプロの演奏会もたくさんある。音楽隆盛の可能性はまだまだ高いでしょう。え〜 と、ブルノのオペラだったかな?現在、全国を「ドン・ジョヴァンニ」で強行スケ ジュール・簡易舞台セットをもって行脚しており、これが驚きの最高一万円。「価格 破壊」で演ずるほうは大変だけれど、その勇断に拍手を送りたい思いです。


曲ではなく、雰囲気、音響効果、サウンドとしてのベルリン・フィルを聴くのなら充分に良いのですが。

フルトヴェングラーの戦前のベルリン・フィルにしろ、クナのミュンヒェン・フィルとのBrucknerにせよ、 どう考えても、録音もオーケストラも今の水準より劣るのに、なぜこうも今でも人気が高く、 新録音よりも売れるのか?ここに解釈(精神面=個性)VS技術(物質面)の構図が 成り立つのではないのでしょうか?チェリにしろヴァントにしろ朝比奈にしろ、 ザンデルリンクにせよ、40年代、50年代には「あの程度」の「巨匠」がごろごろしていた わけであって、彼らは他の人より長生きをして、録音をいくつかする環境にあったのは 幸運だったはずです。
(蛇足ですが、チェリの海賊盤は認めるが、正規盤は彼の芸術に対する冒涜だと 思います)

ところで!最近、AdoraというVOXから音源をもらっている(勝手に作っている?)Adora というレーベルの3CD4.95DM(約280円)という凄いのを買いました。 録音は不明、オリジナルは不明ながら、音質はまぁまぁ(玉石混交とも言うが) 例えば、「Beethoven 」というなかには、

CD1 交響曲第七番、Ludwig+バンベルク響+ 献堂式より序曲と合唱曲 シェーンツェラー+ベルリン響(旧西)

CD2 かんらん山のキリスト ブローザー+シュトゥットガルト・フィル (これははやしさんもHPにお書きになりました=歌手のデータも記載:詳細は小生の HPのBeethoven のDisに掲載)

CD3 アテネの廃墟(全曲!) シェーンツェラー指揮ベルリン響+ ベットヒャー+ブレンデルの合唱幻想曲

というマニアックそのもの。ね、欲しくなるでしょう?

他にも、R.ヴァーグナー+インスブルック響によるトリスタン抜粋、だれやこれのBobic とか、KremerによるWagnerのオペラ合唱。ライトナー指揮ヴュルテンベルク室内管 によるMozart のセレナード。

暑くて蒸すので、なんでもこいって感じです。脳みそまで解けた状態ではろくな 判定も出来ないけれども、安いので楽しんでいます。

(2003年5月1日更新)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi