Sibelius 交響曲第7番ハ長調(ベルグルンド/ボーンマス響)
交響曲第7番ハ長調 作品105(1972年録音) ベルグルンド/ボーンマス交響楽団 D Classics BX703912 4枚組 1,510円で購入したウチの一枚 ヨーロッパ室内管との3度目の全集が評判の、ベルグルンド最初の全集。第1・5番のダブリ買いも気にならないではなかったが、この価格なら後悔もない確信犯の購入でした。1972年から79年までボーンマス響の主席を務めていた時期の録音でしょう。Sibelius の全集は、CD4枚では余りが出るので、なにを収録するかも興味あるところ。 ま、Sibelius はどれも名曲に違いないが、とくに第7番は幻想的であり、荒涼とした雪景色を彷彿とさせる特異な一楽章製の音楽。短い曲ながら、集中力と繊細な響きを要求されます。ワタシにとっては、極め付きに気に入っている曲のひとつ。いままで聴いた(おそらく)10種類以上のCDで、感動しなかったことはありません。 このオーケストラには1960年代前半のシルヴェストリの印象がありますが、録音で聴く限りずいぶんと洗練された響きに変わっています。1980年代のヘルシンキ・フィルとの録音に比べると、弦のクセのある音色はやや気にならないでもないが(いや、むしろこの個性こそ魅力、という説も有)、この録音も捨てがたい魅力。新録音が出ると旧録音はすぐに消えてしまうことが多いのに、ベルグルンドは幸せ者です。音の状態も悪くない。 交響曲第7番は、囁くような弱音で、ため息のように旋律が歌われます。ベルグントは、細かく配慮あるアンサンブルだけれど、弱かったり細くなり過ぎたりしないんです。音量が弱くても、旋律の絡み合いは明快。わかりやすい演奏、というか、曲の真価をシンプルに示してくれているのでしょうか。過剰な色気は付けていないし、まったくの自然体なのですが。 まるで一曲全体でずっと、息の長いクレッシェンドが掛かっているような気がしました。カラヤンの過剰なセクシーさ(これはこれで別な魅力はある)はともかくとして、バルビローリの叙情的な演奏と比べても、もっと淡々とした表現だと思うのです。それでも、というか、それだからこそ説得力が強い。管楽器の音色にもなんの不満はありません。繊細さも、力強さもちゃんとあります。 息も絶え絶えに、猛吹雪の中を進んでいくようで、短くて印象的な旋律が洗われては消えます。シルヴェストリで聴いたときのボーンマス響とはうって変わって、抑制され、粗々しい爆発はついぞ見られません。だからこそ、ラストの解放と安らぎが暖かい。
「ペレアス」は、オーケストラの響きが柔らかく、暖かい。(録音の状態はいっそう良好)「レンミンケイネン」は、溌剌としたリズムがいきいきとしていて、素晴らしい。「エン・サガ」は、意外と骨太にまとめられていて、いつものボーンマス響らしい馬力を覗かせます。金管の野性的な響きも、CDのラストを飾るに相応しい迫力。(ありすぎ)ちょっとアンサンブルの縦線がずれるところも微笑ましいが、少々うるさい印象はあります。 (2001年6月15日)
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