Beethoven 交響曲第5番ハ短調(ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団1947年)他


パブリック・ドメインにてネット・ダウンロード Beethoven

交響曲第5番ハ短調(1947年)

Grieg 交響的舞曲 作品64(1957年)

J.Strauss

アンネン・ポルカ/ピツィカート・ポルカ/ウィーンの森の物語(1956年)

ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団

パブリック・ドメインにてネット・ダウンロード→自主CD化

 音楽を聴く行為、その他諸々、一般に趣味嗜好というのは思い出とか思い入れと深く結びついているものです。音楽評論のプロ(それで飯を喰っている方)だって、時代の趨勢で評価の軸はどんどんずれるし、仮に評価基準の明確な”クリティカル・エディション”云々される方だって、”だからそれで無条件で楽しい!”=イコールではない。クサい言い訳さておき、(既に休止している)オークションでのCD処分で痛い目にあったのがBARBIROLLI CONDUCTS Beethoven (DUTTON)の2枚組。Beeやん苦手だし、LP時代の思い出ばかり集めても仕方がないでしょ、と激安(たしか600円)にて出品いたしました。

 盤質問題ではなんどか失敗した(ご迷惑を掛けた)ので、ちゃんと事前に全部聴いて出品したんですよ。でも、盤面は見ていなかった〜だって、10年ほど前新品で買ったものですもの。扱い丁寧だし、ウチでは誰も煙草吸いませんから。ところが送付したら〜クレームが。ちゃんと再生できるが、盤面劣化が始まっていると〜そうか、仕方がないな。送料振り込み料全部込みで返金いたしました(そのCD命ある限り聴いてちょうだい)。それに含まれていたのが、Beethoven 交響曲第5番ハ短調(1947年)〜こうしてパブリック・ドメインにて出現したのもなにかのご縁、ちゃんと再聴いたしましょう。彼のBeethoven 交響曲録音は少なくて、他には第4番(ニューヨーク・フィル1936年)、第1/8番(ハレ管弦楽団1958年)、第3番(BBC交響楽団1967年)があったくらいじゃないか?

 交響曲第5番ハ短調は記憶以上に端正であり、引き締まった演奏でした。中庸のテンポ、第1楽章提示部繰り返し有。晩年の彼だったら、もっと情緒たっぷりな個性を発揮するのだろうが、ものものしさ、劇性を強調することなく、すっきりとバランスがよろしい。ハレ管はもっと非力な先入観があったけれど、そんなことはない。目を見張るような個性ではないかも知れぬが、けっこうな集中力、例えば第3楽章「スケルツォ」のホルン重奏先頭になかなかの厚み、トリオの弦によるフーガも説得力あるじゃないか!

 終楽章はじっくりとテンポを構えて、徐々にテンポを上げていく爽快なる緊張感が素晴らしい(繰り返しなし)。金管の爆発も迫力充分、しかし、全体に軽快で威圧感の少ない演奏なのでしょう。1947年という時代を考慮すれば、音質わりと良心的。

 Griegの「交響的舞曲」もLP時代所有(中古ジャケットぼろぼろ激安にて入手/たしか「ペール・ギュント」組曲との組み合わせ)していた記憶有。その時はなんやヘロヘロの音質やなぁ、といった感想でしたね。題名は硬派だけれど、馴染みの民族的な旋律連続、剽軽かつ懐かしいリズムがけっこうお気に入りの作品です。ここからはステレオ収録なので、音の鮮度ともかく広がりがあって聴きやすい。Beethoven より10年後、ハレ管とのお付き合いも14年目を迎えて、嫋々たる例の節回し、メリハリあるリズム感(ティンパニはなかなかの迫力)はちゃんと堪能できます。

 自主CDなので、もうちょっとフィル・アップを加えておきましょう。EMIにてウィンナ・ワルツとポルカ計8曲収録したCDは所有済み、それに含まれぬ3曲をパブリック・ドメインにて探しました。「アンネン・ポルカ」はゴージャスな厚みに溢れ、テンポをどんどん上げて賑々しい仕上がり、「ピツィカート・ポルカ」は思いっきりテンポを揺らせて(途中、走りすぎでっせ)期待通りのクサさ満載。

 EMI盤に「ウィーンの森の物語」が含まれなかったのもヘンな話だけれど、ツィターではなく弦楽合奏が代替して幻想的、提示部繰り返しは初めて聴いたような気がしますね。テンポのワザとらしい揺れ+元気な疾走はいかにもバルビローリらしい入念な仕上げ、ウィーン風粋じゃないけれど、彼の個性をたっぷり、充分堪能させて下さいました。

(2010年10月10日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi