Beethoven ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」/交響曲第5番ハ短調
(キム・ソヌク(p)/チョン・ミョンフン/ソウル・フィル)


DG 4810312 Beethoven

ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」
交響曲第5番ハ短調

キム・ソヌク(p)/チョン・ミョンフン/ソウル・フィル

DG 4810312 2013年ライヴ

 Myung-Whun Chung(1953ー韓国→亜米利加)はいまや押しも押されもせぬ実力者でしょう。韓国最古の団体であるソウル・フィル(1948年創立)とはソウル市立交響楽団のこと、なにかトラブルがあったようで2015年に音楽監督を降りております。現在の中心的指揮者はマルクス・シュテンツが務めているらしい(Wikiより)この時点、オーケストラの技量は相当な水準に洗練されていると感じました。隣国との関係はいろいろ微妙なこともあるけれど、いずれ仲良くやっていきたいもの。

 Sunwook Kim(1988ー韓国)は期待の若手。「皇帝」第1楽章「Allegro」冒頭からピアノは力みなくデリケートな音色、オーケストラは余裕、スケール大きく豊かに響いて輝かしいけれど、強面な威圧を感じさせない。中庸のテンポにあわてず走らず、管楽器も一流の技量に高揚して、やや色気不足かも。第2楽章「Adagio un poco mosso」は静謐に、湧き上がるように情感が漂う緩徐楽章。弦は痺れるようにていねいな導入、そこにピュアに清潔なピアノが溶け込んでここは上々の出来。やや苦手系「皇帝」だけど、ここの落ち着きが一番好き。第3楽章「Rondo(Allegro)」は颯爽とした勢いに走りすぎず、余裕のテクニックを感じさせて力任せにならぬリリカルな仕上げ。ティンパニがなかなか快感でした。これはたっぷり瑞々しく美しい「皇帝」でした。20:34-8:35-10:54(拍手有)

 ハ短調交響曲第1楽章「Allegro con brio」はやや速めのテンポに、緊張感と推進力たっぷりの開始。わずかなタメも雄弁効果的に決まって、提示部は繰り返し。ホルンの音色がほんのちょっぴり素っ気ない。ここでもティンパニのアクセント、キレ味は最高。ソウル・フィルは保留条件なしに驚くほどていねいなアンサンブル、ここでは響きの厚み、色気、パワーにも不足はない、カッコ良い始まりでした。第2楽章「Andante con moto」は悠々と歌ってスケール大きなフレージングに、躍動感もある緩徐楽章でした。第3楽章「Allegro」この不気味にうごめく、低弦から始まる力強い行進曲がスケルツォ?トリオ「象のダンス」もずいぶん革新的な楽章とおもいますよ。ここも思いっきりアクセントが明瞭なリズム感がカッコ良い。ホルンはかなり頑張っているけれど、やはり音色がいまいちかな? 第4楽章「Allegro」は高らかなトランペットにティンパニのリズムがピタリと合って、推進力抜群に雄弁、繰り返し有も嬉しい。ここのホルンはお見事でしょう。カスタマーの世評には音質云々への言及があったけれど、こちらの安物オーディオ環境ではマイルドに響いて、まずまずの音質と思います。全体にちょっぴり弦の響きに濁りを感じたけれど、その判定真偽定かならず。 7:36-10:57-5:20-11:06(熱狂的な歓声と拍手有)

 隣国との健やかに平和な関係を心より願う。

(2023年11月4日)

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written by wabisuke hayashi