Beethoven ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」/
交響曲第8番ヘ長調/交響曲第1番ハ長調(ロクリアン・アンサンブル)


Gulid GMCD7274 Beethoven

ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 作品13「悲愴」(弦楽五重奏版)
交響曲第8番ヘ長調 作品98(弦楽四重奏版)
交響曲第1番ハ長調 作品21(弦楽五重奏版)

ロクリアン・アンサンブル

Gulid GMCD7274 編曲者不明 録音情報不明2004年発売

 録音がなかった時代は楽譜を売ったり、コンサートで新作を発表したりして音楽活動をしていたのでしょう。著作権なんて確立していない頃、自宅で気軽に演奏するための”編曲”が出回ったそうで、これはBeethovenと同時代の編曲(者不明)が残っていたものを演奏したものらしい。閑話休題(それはさておき)馴染みの名曲が新鮮に、贅肉余録を取り除いて骨組みが鮮明に見えるのも驚くべきこと、Beeやんの音楽も種々様々な表現が許されて、骨格は揺るがぬもの。

 一般にBeeやんは強靭な構成とか激しいラッシュをイメージするけれど、ピアノ・ソナタ「悲愴」第2楽章「Adagio cantabile」はポピュラー音楽に流用されるほど美しい、泣ける旋律を誇りますビリー・ジョエル 「This Night」第1楽章「Grave - Allegro di molto e con brio 」劇的切迫感溢れる開始、これが弦楽五重奏に編曲されるとSchubertの「死と乙女」のように浪漫の風情が漂って、先の第2楽章には甘美なテイストが、第3楽章「Rondo, Allegro」の切迫する悲劇にも色彩を感じさせました。ここはMozart 弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516を連想しました。原曲も素敵だけれど、こんな切り口の膨らみに感慨無量。

 残り交響曲は管楽器打楽器抜き、更に弦楽は各一人に切り詰めて”作品の骨組み鮮明”となります。結論的にもの凄い名曲!な弦楽四重奏五重奏曲を聴いた感じ。ノーミソ中では馴染みのサウンドを再構成しているのかも。交響曲第8番ヘ長調は革新的な作品、第2楽章「Allegretto scherzando」ってメトロームそのもののシンプルなリズムですもんね。第4楽章 Allegro vivaceの軽妙軽快なテイストも大好き。小ぶりな交響曲は弦楽四重奏に似合います。第1楽章「Allegro vivace e con brio」の快活さ、陰影に不足はない。第3楽章「Tempo di Menuetto」の優雅な風情も味わい深いもの。終楽章はゆったり目のテンポ、各パートを現に置き換えるから途中、リズムが原曲と変わって(いっそうユーモラスに)聴こえるのも新鮮そのもの。

 青春の歌・交響曲第1番ハ長調も若々しくて大好きですよ。第1楽章「Adagio molto - Allegro con brio」は調性が不安定な出足(序奏)から若きBeeやんの意欲が伺えます。弦楽五重奏による演奏は威圧感もなく優雅そのもの。動きはいっそう溌剌軽快。まるでMozartの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」でっせ。第2楽章「Andante cantabile con moto」はのんびりとしたフーガの開始、弦のヴィヴラートがよう似合う浮き立つような緩徐楽章であります。第3楽章「Menuetto,Allegro molto e vivace」は実際上はスケルツォ、湧き上がるような感興に溢れて前のめりの楽章は、淡々かつヴィヴィッドに表現されます。躍動と迫力はノーミソ中で補っておきましょう。第4楽章「Adagio - Allegro molto e vivace」は堂々たるスケールに破顔一笑。ここも落ち着いて、繊細なテイストが優先されて、いつもと違う景色を愉しみました。

(2017年12月17日)

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written by wabisuke hayashi