Beethoven 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
(レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック1953年)


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交響曲第3番 変ホ長調「英雄」

レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック(1953年録音)

パブリック・ドメイン音源にてネット入手(米DECCA録音)

 お恥ずかしいことに”Beeやん苦手”を公言しているし、メジャーで数々のバーンスタイン録音も熱心には聴いておりません。それでもニューヨーク・フィルとのステレオ全集が安価で発売(もう完売?)されたので注文して到着を待っているところ〜キッカケはこの米DECCAモノラル録音との出会いであって、予想以上、想像以上に溌剌としてキビキビ、若々しいヴィヴィッドな仕上がりに驚いたためです。.mp3→.wav変換自主CD化して聴いたが、音質も極めて良好。もともとアンサンブルの細部を磨き上げたり、音質的にも意外と無頓着な指揮者だけれど、これは出色の仕上がりと言って良いでしょう。CDでも入手可(スタジアム交響楽団名義になっているが)。

 バーンスタイン当時35歳、当時ミトロプーロス時代のオケはなにかも問題が多かったそうだけれど、ここで聴く限りアンサンブルの集中力は驚くべき水準であって、後年1964年ステレオ録音より好調じゃないか、と思われます。第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」は提示部繰り返しなし、冒頭の激しい和音から響きが明晰で濁らない。颯爽とした迫力と推進力は爽やかであります。重苦しかったり、粘着質ではない、骨太だけれど明るいサウンドに支配され、若々しく音楽は進みます。厚みはあるが、リズムは軽快であり、一気呵成なテンションが持続いたします。

 第2楽章の葬送行進曲は17:45掛かっていて、これは後年ウィーン・フィルとの録音より更にテンポは遅いんです。いかにも深刻、情熱的粘着質な演奏を想像するが、そんなことはない。表現は緻密であり、入念だけれど、意外とサウンドは明晰であって深刻に重苦しくならない。悲嘆に暮れ、泣き叫ぶ、といった風情に非ず。忍び泣く、といったウェットさでもない、もの悲しくも美しい旋律を丁寧に、メリハリたっぷり、起伏を以て表現したといった感じでしょうか。

 第3楽章「スケルツォ」は期待通り、若さと馬力の演奏であって、叩き付けるような躍動を愉しめます。ホルンの腕の見せどころ三重奏もお見事、後年2種の録音より圧倒的に速いテンポで駆け抜けます。終楽章もその勢いをそのまま維持して、但し、この楽章のテンポはやや遅くて、じっくり腰を据え、しかし明るく輝かしいサウンド前面の希望に溢れた爆発であります。聴く側が汗ばんじゃうくらいの大爆発。

 作品的にもオケの個性でも、圧倒的に独墺系が支持される日本”クラシック音楽”市場。こんな明るい、希望に充ち満ちた演奏は評価されなかったでしょう。曰く、”外面的”、”サウンドに渋さがない”、”重厚さ、貫禄に欠ける”、”明るすぎる”〜しかし、古楽器隆盛、こだわりも先入観もない時代に至って、ようやく正統な評価をいただける時代となった、と思います。いつもワン・パターンだけれど、1960年前後代亜米利加のオケには、一番元気で豊かだった時代の証言を感じちゃいます。最高。

 自主CDなので残り時間フィル・アップは自由自在。最終楽章のテイストを尊重して、エロイカ変奏曲 変ホ長調 作品35〜アルトゥール・シュナーベル(p)(1938年)を収録しておきました。子供時代からのお気に入り作品でして、演奏には特別な感慨はありません。交響曲の余韻を愉しむ、といった伺候であります。

(2010年7月30日)

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written by wabisuke hayashi