Beethoven 交響曲第5番ハ短調
(シューリヒト/パリ音楽院 1946年)


Beethoven

交響曲第4番  変ロ長調 作品60(1942年)

交響曲第5番ハ短調 作品67(1946年)

シューリヒト/ベルリン・フィルハーモニー/パリ音楽院管弦楽団

HISTORY 205641-303     10枚組2,290円で購入

 2002年夏休みに「苦手Beethoven の宿題消化」とばかりに、ブロムシュテット盤全集を一気に聴きました。ワタシの好み方向の地味渋なオケの響き、虚飾の少ないストレート系の解釈は嫌いではないが、やはり、その後の猛暑とか(弛みきった)精神状況などと併せて、音楽そのものを聴く気が失せてしまいました。

 それでもシューリヒトの10枚組が出れば、ダブりが数枚入ろうとも買わざるを得ない。交響曲は第1〜7番迄揃いました。で、気になったのが第5番。「1946年録音のBeethoven 第5番/パリ音楽院〜これは英DECCA録音ですか?むかし、MZシリーズで出ていたLPと同じもの?それとも別物?演奏は軽快でなかなかでっせ。」〜こうワタシのBBSで訊いてみたが反応なし。あちこちのサイトを見てもわからない。

 世の中、捨てる神あれば拾う神有〜体操服屋の若旦那(岡山県児島在住)から吉報来る〜「昔MZシリーズで出ていたパリ音楽院とのベートーヴェン5番は、CDとして持っているので 早速聴き比べをしてみました。HISTORYは、1946年録音となっておりますが キングレコードのCDには、1949年6月録音となっております。

 結果は、断言はできませんが ほぼ同じ録音でしょう といったところです。あまりにもリマスターが違いすぎて 決め手がありませんでした。キング盤は、盛大に針音が入っていてSPそのままの雰囲気ですが HISTORYは、針音も消えてかなり音をいじっております。

従ってヘッドホンでキング盤の後 HISTORY盤を聴くと 頭がクラクラしてきます。当然キングレコードのCDのほうがいいのですがスピーカーで聴くと互角かHISTORY盤のほうが聴きやすくなります。なるほどリマスターとは、原音をいじってでも ある想定の元の再生装置で聴いて楽しめるようにすることだと感じた次第です。」ありがたい情報。

 キングのMZシリーズは、LPを知っている世代なら必ずお世話になった有名な音源満載。その情報が(少なくとも日本語サイトでは)系統的に触れられていないとはどういうことか?いったい正しい録音年はどっちなんだ〜と、怒りつつ・・・・・


 このハ短調交響曲は良い演奏ですねぇ。まず、オケの響きがカルめで、威圧的な厚み、重みがなくてよろしい。軽快、勢いがあって、ハズむようなノリがある。音質的には時代相応だけれど、表現が明快なので、(演奏スタイルの)古さを感じさせません。一歩間違えば、どうしようもなくダルになりがちの第2楽章「アンダンテ」も、細部に行き渡ったニュアンスが繊細なんです。

 第3楽章は、物々しい軍隊の行進のようでもある曲だけれど、もっと淡々として自然体。だいたい例のホルンの雄叫びには妙に色気ある音色で、いかにもフランスらしく、元来流布しているこの曲のイメージとは異なります。終楽章の爽やかな爆発は期待通り。あまりヨロしくない録音のなかから、弦とか、木管の細かい味付け(美しい!)が聞こえてきて、いつになく新鮮な「運命」でした。

 全体として、録音の加減か金管が目立たない(カルい)演奏であり、弦主体のテンション高いもの。繰り返しがないのはSP収録の都合ですか?音質はたいへん聴きやすい。


 第4番は、遅くて重いんです。おそらくSPのノイズをカットしすぎたのか、デッドな響きも気になります。オケの特質(戦前のベルリン・フィル)のせいでしょうか、明快でていねいななフレージングはいつも通りだけれど、どうもノリと軽快さに欠けます。表現的には第5番より、巨匠風か。つまりスケールは有。やや、もっさりしている?言い過ぎか。

 あまりヨロしくない音の中から、オケの充実した響きは理解できます。ま、Beethoven としては、こちらが正統派の音か。「重い」と言っても「彼にしては」ということであって、ズルズルの泥のような重さではありませんが。戦前のベルリン・フィルの音なんだろうな、コレは。第2楽章「アダージョ」の約10分がやたらと長く感じます。

 ホルンの遠くから鳴る深い響きは、先ほどのパリ音楽院とは好対照でしょう。第3楽章スケルツォには、シューリヒトのスッキリとした表現の片鱗が伺えました。(これは数度聴いた結果、慣れの問題か?)中間部のゆったりとした、しかもていねいな表現も出色、と感じるように。ま、リキみや強引さとは無縁なのは当たり前。

 終楽章。これが着実というか、ようはするにテンポの遅さが際だつところでしょう。響きとしては混沌のダンゴになっていない。が、キッチリ細部まで表現してくれたせいか、勢いがやや死んでしまったか、ということでしょうか。彼にしては、いつになく冷静な(クールとはちと異なる)味わい(というか、手探りっぽい状態)でした。

 録音という制限の問題なのか、当時のフルトヴェングラーに対するアンチ的表現なのかはわかりません。(2002年12月13日) 


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written by wabisuke hayashi