Bach ブランデンブルク協奏曲第4/5/6番
(ポープル/ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団)


ARTE NOVA BVCC-6003 Bach

ブランデンブルク協奏曲第4/5/6番

ポープル/ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団

ARTE NOVA BVCC-6003  1995年録音  中古180円で購入

 ブランデンブルク協奏曲は、厚顔の薇少年だった小学生の頃から大好きでした。カラヤン、マゼール、そしてリヒターのLP(西ドイツ直輸入2枚組豪華布張装丁4,600円!)は宝物でしたね。やがて、石油ショックが来て、ヴェトナムのサイゴンは陥落し、高度成長はバブルで終焉を迎え・・・キリがないので止めます。ま、いつの間にやらおっさんに。

 1998年にこのサイトを(細々と)始めました。当時はまだ廉価盤は珍しかったんですよ。「転居直前記念200円のCD」なんてめでたい一文書いてました。デフレ、というべきか、もともとが高すぎたのかは判断できないが、その後の相場の下落はご存じの通り。あんなCD、50円でも買いませんよ。今時。

 で、先日このCD180円でした。中古とはいえ寄せ集めじゃないし、著作権がちゃんとしている〜どころか、1995年(オウム真理教の年ですな)のデジタル録音。ロス・ポープルでは知名度的にちょっと弱いが、1980年以降意欲的な録音を続ける、イギリス(出身はニュージーランド)の実力派です。この人、廉価盤での録音が多く、ワタシには馴染み深い。

 まず録音が自然で優秀なこと。編成がバロックに相応しい小編成であること。ソロの技量が十全で、豊かで瑞々しいアンサンブルであること〜この演奏のどこにケチを付けられましょうか。例えば、可憐なる第4番の二本のリコーダーが(今時?)フルートで代替している、なんて!って、現代楽器の音量バランスを考慮すればフルートのほうが現実的なんでしょう。リコーダーの使用こそ、ある意味「録音のマジック」。

 なにより、このフルート、清楚な響きがある。全体として、どの曲も昨今の古楽器(アーノンクールの登場以来?)風「ハズむような、ノリノリのリズム」ではない。もっと穏健で、エキセントリックさの欠片もなし。これじゃ不満ですか?

 第5番における雄弁なるフルート、達者な技巧を誇るヴァイオリン・ソロ。圧倒的に華やかなチェンバロ〜但し、往年のメカニカル金属的音色ではない〜、ああ、なんか久々、当たり前の堂々たるスタンダードな演奏を楽しめたな、という感慨が深い。手応え有。

 オーソドックスだけれど、ムリムリなテンポ設定はないし、Bach を楽しむのになんの不足があるの?しかも、180円。あれこれ屁理屈こねたり、劣悪音質・怪奇巨大スケール歴史的録音(・・・嫌いではないが・・・)を持ち上げたり、尋常ではないアクロバティックな快速テンポ〜そんな演奏ばかりじゃなくても良いでしょ。

 第5番のチェンバロね、録音が良いので、微妙なタッチの変化がよくわかりました。なんども何種類も、何十年聴いた曲でも、ちゃんと発見はあるもんです。3曲ともほんまに楽しい。(2003年7月25日) 


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written by wabisuke hayashi