Bach 鍵盤のための協奏曲全曲(クリスティアーヌ・ジャコテ)


Bach チェンバロ協奏曲

ニ短調 BWV1052
ホ長調 BWV1053
ニ長調 BWV1054
イ長調 BWV1055
ヘ短調 BWV1056
ヘ長調 BWV1057(2本のリコーダー付)
ト短調  BWV1058
ハ短調 BWV1060(2台のチェンバロのための)
ハ長調 BWV1061(2台のチェンバロのための)
ハ短調 BWV1062(2台のチェンバロのための)
ニ短調 BWV1063(3台のチェンバロのための)
ハ長調 BWV1064(3台のチェンバロのための)
イ短調  BWV1065(4台のチェンバロのための)
チェンバロ、フルート、ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲イ短調 BWV1044

クリスティアーヌ・ジャコテ、サルトレッティ、ホステットラー、クリンケルファス(cem)/エッガー(v)ヘラー(fl)ティーム(リコーダー)
フェルバー/ヴュルテンベルク室内管弦楽団

VOXBOX CD3X 3018 1978年録音他  3枚組2,450円で購入

 LP時代にはレパードの演奏が気に入っていて、1990年代初頭にLPを全部処分したあと、ほぼ最初に買ったCD。お気に入りの曲です。いつもながら古楽器であろうと、ピアノであろうとなんでも良くて、安かったら即CDを買う曲集の代表的なもの。この度、数年ぶりに聴いて仰け反りました。もうステレオの前から動けない。懐かしくて、楽しくて。

 知っている曲ばかりでしょ?BWV1057はブランデンブルク協奏曲第4番とほぼ同じ曲だし、BWV1054・1058・1062はヴァイオリン協奏曲の編曲(もしくはその逆)、もちろんBWV1065はご存知ヴィヴァルディの「調和の幻想」をアレンジしたもの。BWV1060は「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」としてのほうが、ずっと有名でした。ま、とにかくあちこちで聴く機会が沢山で、馴染みの顔ばかり。

 クリスティアーヌ・ジャコテはPILZレーベルでもかなりのBach 録音を残していて、廉価盤には常連さんなんです。「ゴールドベルク変奏曲」ではイマイチ不満だったが、録音もわりと良好なせいか、ここでは好調。録音年代的に(ヴァルヒャとか、古くはランドフスカみたいに)金属的だったり、モウレツによく鳴るチェンバロではないが、バックはもちろん現代楽器。演奏スタイルは中庸なテンポを守って、むしろドッシリとした安定感がタップリ。

 フェルバーのバックが立派なんですね。瑞々しくて、少人数の爽やかさは残しつつ薄さを感じさせません。最近はもっと少人数(各パートほとんどひとりずつとか)のバックが主流かも知れませんが、ここではもう少し響きが艶やか。チェンバロを包み込むように控えめだけど、主役はこちらかも知れません。現代の耳にはやや浪漫的すぎるが、時代錯誤と呼ばれようと、聴き慣れているから、こちらのほうが安心できる。

 ジャコテを始めとするソリストに文句なし。バックと息が合って、急いたところもない。コープマンなどにみられる即興的な装飾音には不足していて、オーソドックスにすぎるかも知れません。楽章の終了時には、リタルダンドが掛かるのも懐かしい。それでも、いわゆる第1番ニ短調BWV1052から「ノリ」を感じます。ハ長調BWV1091で、チェンバロが左右に掛け合うところのハズむような楽しさ。それに呼応する弦の軽やかなこと。

 もともとBach が学生さん達と楽しく演奏するために作った曲らしいから、愉悦感が感じられないとダメなんです。3日間ほど、あちこち曲を替えながら心安らかに過ごしました。

 「どの曲が一番好き?」と訊かれれば、少々悩んでハ短調BWV1060(2台のための)と、ハ長調BWV1064(3台のための)を上げましょうか。ハ短調における劇的な緊張感、ハ長調は晴れやかな楽しさにカラダも心も揺れそうな快感。この2曲、ヴァイオリンのみで編曲されている演奏もあって、それも楽しい。(ハ短調はクレーメルで、ハ長調はルツェルン・フェスティヴァル盤を聴いたことがある)

   BWV1060・1061・1064・1065の録音年がわかりませんが、こちらのほうが鮮明なのであとの録音でしょう。チェンバロの音色はデジタル臭く録音されると聴いてツラいが、全体としてアナログの柔らかい音質で、VOXとしては出色。全集というのは一応間違いではないが、ニ短調(いわゆる第8番)も収録して欲しかったところ。ブランデンブルク協奏曲第5番もほんとうはチェンバロ協奏曲なんですけどね。(マリナー/キプニス盤〜LP時代〜には両曲とも収録されていた)

   この価格でもけっして高くはないが、この曲集は最近、ミュラー・ブリュール盤(NAXOS)、コープマン盤(ERATO)、もちろんBRILLIANT等でも、うんと廉価で購入可能となりました。(2001年3月30日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi