Bach 協奏曲ヘ長調BWV1057/イ短調BWV1044/
トリオ・ソナタ ト長調BWV1039他
(フランス・ブリュッヘン/グスタフ・レオンハルト)


Teldec 4509 97473-2 Bach

チェンバロ協奏曲第6番ヘ長調 BWV1057
グスタフ・レオンハルト(cem)/フランス・ブリュッヘン、ジャネット・ファン・ウィンゲルデン(reco)/レオンハルト・コンソート

トリオ・ソナタ ト長調 BWV1039
フランス・ブリュッヘン、レオポルド・スタストニー(ft)/ニコラウス・アーノンクール(vc)/ヘルベルト・タヘツィ(cem)

フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための三重協奏曲イ短調 BWV1044
グスタフ・レオンハルト(cem)/フランス・ブリュッヘン(ft)/マリー・レオンハルト(v)/レオンハルト・コンソート

ソナチナ(カンタータ第106番「神の時こそいと良き時」より)
グスタフ・レオンハルト(or)/フランス・ブリュッヘン、ジャネット・ファン・ウィンゲルデン(reco)/ハインリヒ・ハーフェルラント、ヴェロニカ・ハンペ(gamba)

ソナタ・コンチェルト(カンタータ第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」より)
グスタフ・レオンハルト(or)/フランス・ブリュッヘン(ft)/マリー・レオンハルト(v)/レオンハルト・コンソート

Teldec 4509 97473-2 1967年録音 ヴォルフ・エリクソン(プロデューサー)

 おそらく演奏者はほとんど鬼籍に入られた50年以上前の録音。音質、演奏ともまったく現役、1960年代に古楽器演奏の先駆としてかなり高い水準を実現していたことに驚きました。Wolf Erichson(1928-2019)はTeldecからやがて自身のレーベルSEON(Studio Ericson)を立ち上げることになります。ここでの収録はブリュッヘンのソロが活躍する協奏曲室内楽ばかり。

 チェンバロ協奏曲第6番ヘ長調 BWV1057は、有名なブランデンブルク協奏曲第4番ト長調 BWV1049の異稿。そちらはヴァイオリンの超絶技巧ソロが入るけれど、レオンハルトのチェンバロ・ソロに置き換わっております。天翔る華麗なるリコーダー2本は同じ、中学生時代より馴染みの縦笛が味わい深い色に変化するのが不思議。レオンハルトのリズム感は硬質、彼のソロはあまり好きじゃなかったし、LP時代の記憶は”どーしてこんなに窮屈なのか”〜ここではそんな生真面目なリズム感をむしろ好ましく受け止めました。

 トリオ・ソナタ ト長調 BWV1039は、チェロ・ソナタ第1番ト長調 BWV1027の原曲とのこと、そちらのほうがもともと馴染みでした。Bachに駄作なし、そのことを大前提にちょいと苦手としていたけれど、こちらオリジナルだったらええなぁ、緩急緩急の4楽章、優雅な味わいの出足はフラウト・トラヴェルソ2本の絡み合い、滋味深い色彩が似合っていると思います。Herbert Tachezi(1930−2016墺太利)と彼(か)のNikolaus Harnoncourt(1929−2016墺太利)が通奏低音を担当(けっこうヴィヴラート有)「急」の楽章は隈取をはっきりとさせて低音リズムを支えます。皆、死んじまったなぁ、当時30歳代の若手ですよ。

 三重協奏曲イ短調 BWV1044は、ちょいと暗くてジミな旋律に、フラウト・トラヴェルソとヴァイオリン、チェンバロのからみ合い。一連のブランデンブルク協奏曲より人気はないように思います。マリーってレオンハルトの奥様?この作品での主役はレオンハルト、硬質なリズム感効いてますよ。骨太かつ古雅な古楽器サウンド(とくにフランス・ブリュッヘン)に、半世紀前とは思えぬキレを感じさせて、当時主流だった大柄大味なアンサンブルとは一線を画して、現代の耳でも新鮮そのもの。レオンハルト・コンソートって、現在では当たり前になった各パート一人編成なんです。

 カンタータから引用された「ソナチナ」「ソナタ・コンチェルト」はほんの2−3分、短いもの。もしかして一連のカンタータ全集録音の一部でしょうか。敬虔に心温まる美しい旋律連続。

(2020年3月29日)

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written by wabisuke hayashi