Bach イタリア協奏曲(ルドルフ・ゼルキン)/
2台のヴァイオリンのための協奏曲ニ短調(メニューイン/デ・ヴィート)/
ブランデンブルク協奏曲第2/5番(ティレガント/フィッシャー他)


MEISTERKONZERTE100枚組より2枚目 Bach

イタリア協奏曲 BWV971

ルドルフ・ゼルキン(p)(1950年)

2台のヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1043

ユーディ・メニューイン/ジョコンダ・デ・ヴィート(v)/アンソニー・バーナード/フィルハーモニア管弦楽団(1953年)

ブランデンブルク協奏曲第2番ヘ長調 BWV1047

モーリス・アンドレ(tp)/ジョルジ・テレベシ(v)/クラフト・トロヴァルド・ディロー(fl)/ホルスト・シュナイダー(ob)/フリードリヒ・ティレガント/南西ドイツ室内管弦楽団(1957年)

ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV1050

エドウィン・フィッシャー(p)/マノウグ・パリキアン(v)/レイモンド・クラーク(vc)/ガレス・モリス(fl)/フィルハーモニア管弦楽団(1952年)

MEISTERKONZERTE100枚組より2枚目

 聴き応えたっぷり、歴史的音源ながら比較的良心的な音質で揃えた100枚組より。Bach はここ半世紀でがらり演奏スタイルを変えてしまって、昔の音源を聴くのは少々ツラいこともあります。それは1970年頃、ステレオ時代に至ったものでも同様、この一枚収録の音源も古楽器の軽妙溌剌としたスタイルに慣れた耳にどう響くか?がポイント。

 古楽器演奏の隆盛を前提としつつ、現代ピアノによるBach は普遍的な価値を維持しております。これはグレン・グールドの偉大なる業績ですか?もとよりBach の偉大なる音楽は、どんなスタイルでも骨格は崩れないのは前提、ルドルフ・ゼルキン47歳壮年の演奏は驚くほど端正であり、細部配慮に充ち、淡々と引き締まったものでした。曖昧さのない技巧、終楽章の快速もけっして走りすぎない。音質含め、”旧い”といった印象を微塵も感じさせない、時代遅れの浪漫じゃないんです。これってプラド音楽祭のライヴかな?

 メニューインの音源は初耳でして、同作品ならエネスコと協演した1932年(16歳!見事なソロ)が有名でした。こちら37歳、まだまだ技巧に衰えはなかったはずの録音となります。オケの出足は時代を反映してやや”緩い”印象、ソロも(どちらが第1ソロ・ヴァイオリンなのかは知らぬが)クセのある節回し+ヴィヴラートがメニューインじゃないでしょうか。最近の風潮からするとテンポはゆったりとして、緊張感が足りないかな、と思います。1950年代だから、大時代的なスタイルではないけれど、特別好んで聴くべきものでもないかな、と、ちょっぴり不遜なる考えを抱いてしまいました。ジョコンダ・デ・ヴィートのほうが10歳年上、彼女の伝説的なヴァイオリンを聴くべき録音でしょうか。第2楽章「ラルゴ」に於ける内省的な味わいには感銘有。

 ブランデンブルク協奏曲第2番を担当するのはティレガント。1960年前後、ステレオ録音によるバロック音楽をいくつか残しております。当然現代楽器、フルート使用も当時では当たり前、現代だって舞台での実演だったらバランスがよろしいでしょう。名手アンドレのトランペットが朗々と軽快であって、全体に時代掛かった大仰なるスタイルは見られません。小編成の親密なる集中力を誇る演奏です。ソロも皆、上手いモンですよ。テンポも適正、ノリも悪くない・・・但し、ワタシは21世紀若手による超絶技巧古楽器、鼻歌でもうたうかのようなすいすいとした演奏を知っております。ちょっと生真面目過ぎというか四角四面かな?

 ステレオ録音。音質も良好。

 さて、問題は大御所エドウィン・フィッシャー(p)によるブランデンブルク協奏曲第5番であります。これって1950年代録音だったんですね。初耳?いえ、たしか若い頃FMで聴いていたはず。長大なる鍵盤ソロをピアノで、というのは悪くないと思いますよ(カザルス盤ではたしかゼルキンが担当)。世代的に”時代遅れの浪漫”、”時代掛かった大仰なるスタイル”を想像していたが、そんなことはない。ややテンポの揺れはあるけれど、意外とモダーンな味わいであり、大きな呼吸というかノリもちゃんとありました。

 各楽章ラスト、必ずルバートが掛かるのは時代なんだな。第2楽章「Affetuoso 愛情を込めて」は指示通りだなぁ、纏綿とした抑制気味の詠嘆は最近の古楽器には出せない味でしょう。名手ガレス・モリスのフルートはお見事。終楽章のまったりとした躍動も余裕です。ちょっと最近出会えない、昔風の別嬪はんに出会った気分。

(2010年8月6日)

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written by wabisuke hayashi