To NAXOS

Bach 管弦楽組曲第1/2番(ドヴォルザーク/カペラ・イストロポリターナ)


Bach 管弦楽組曲第1・2番 Bach .J.S.

管弦楽組曲第1番ハ長調BWV1066
管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067
イギリス組曲第3番ト短調BWV808(ラフ編曲)
前奏曲ロ短調(ストコフスキー編曲)
シチリアーノ(J.ドヴォルザーク編曲)
「目覚めよ」と呼ぶ声が聞こえ(バントック編曲)

ドヴォルザーク/カペラ・イストロポリターナ

NAXOS 8550244 1989年録音  860円で購入

 2000年は「バッハ・イヤー」だそうで、NAXOSから「完全管弦楽作品集」(ホンマ?)が8枚組で登場。4,500円でしたので、RSS(廉価盤CD推進協会)の強い掟に従って購入しました。ミュラー・ブリュール/ケルン室内管弦楽団の演奏は、予想以上に見事で録音も目が覚めるよう・・・・・・・閑話休題。

 NAXOSは、けっこう新録音をしますよね。それはそれでありがたいのですが、初期の録音は廃盤になってしまうのでしょうか。このBach は、NAXOS初期からカタログにあって、管弦楽組曲4曲収録して一枚物で出たこともありました。

 ま、管弦楽組曲はガマンするとしても、その他小曲集が貴重だと思うんですよ。イギリス組曲の編曲版はほかでは手に入らないはず。ドヴォルザークという凄い名前の指揮者にも興味有。(1939生まれというからヴェテランのほう)

 有名な管弦楽組曲のほうから。カペラ・イストロポリターナは、スロヴァキア・フィルを母体に1983年に創立されたとのこと。ヴァルハル率いる(た?)スロヴァキア室内管に比べると、ずいぶんとちゃんとしたアンサンブルと思います。

 現代楽器による演奏で、安定感のある適正なテンポ、オーボエやフルート・ソロのしみじみとした音色、技術のたしかさ。少ない人数の弦が、静かな旋律で絡み合う部分でのヴィヴラートの甘い囁き。ひさびさに聴いてみると、けっこう楽しめます。細部へのこだわり、ていねいな味付けが感じられる演奏。もっと常識的・四角四面の演奏かと思ったら、意外と新鮮。録音も悪くない。

 不足しているところは「即興」です。ミュラー・ブリュールの演奏を聴いていて思いましたが、最近のバロックはもっと自由で、アド・リブがたくさん入る。思い切ったテンポの変化や(おそらく演奏者が、お互いに息を合わせながら)「間」を取り合ったりしていると想像されます。そこから生まれる感興の高まり。自発性。

 そんなものが少々足りないかも。それでも、立派な演奏と思いますが。

 ラフ編曲のイギリス組曲は、ほかで出ていますか?管楽器もティンパニも入っていて、旋律はバッハだけれどテイストはバロックじゃない感じ。演奏のせいもあるのでしょうか、弦の細かい音形の絡み合いに緊張感があって、技巧的な印象。まったく別な曲に生まれ変わっていて、貴重といえば貴重。

 前奏曲ロ短調(ストコフスキー編曲〜平均率クラヴィア曲集からの)は、昔からNHK-FMを聴いていた人には懐かしいはず。クラシック番組のテーマ曲でした。(記憶では若杉弘/NHK交響楽団の演奏)ストコ本人の演奏はきっと探せばあるのでしょうが、こうした新しい録音で聴けるのは嬉しい。バスのピツィカートが聴こえてくるとドキドキします。

 シチリアーノはヴァイオリン・ソナタの中でも、ひときは哀愁漂う甘い旋律をJ.ドヴォルザークが編曲したもの。当たり前すぎる月並みな編曲で、面白い出来ではありません。

 「目覚めよ」は、主旋律をうたう弦を飾る、管楽器が凝った編曲になっていてたのしめます。編曲ものに入ってから、なんとなくヴァイオリンが薄く感じるのは気のせいでしょうか。

(2000年4月22日更新)


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written by wabisuke hayashi