ヴァイオリン小品集/Chausson 詩曲/
Mendelssohn ヴァイオリン協奏曲ホ短調 他
(アンドレイ・コルサコフ(v))


これは旧ソヴィエット時代のLP Wieniawski

ワルツ・カプリース 作品7/マズルカ ト短調 作品12-2「ポーランドの歌」(1977年)

Sarasate

アンダルシアのロマンス 作品22/ツァパテアード 作品23(1975年)

Gershwin(arr. J. Heifetz)

歌劇「ポーギーとベス」より5つの小品(1975年)

イオランタ・ミロシュニコヴァ(Iolanta Miroshnikova)(p)

Chausson

詩曲

Mendelssohn

ヴァイオリン協奏曲ホ短調

ウラディミール・フェドセーエフ/ソヴィエット放送交響楽団(1983年)

Tchaikovsky

「なつかしい土地の思い出」作品42より「瞑想」「メロディ」

Bizet-Waxman

「カルメン幻想曲」

ヴラディーミル・コジュハーリ/ソヴィエット放送交響楽団(1990年)

アンドレイ・コルサコフ(v)

radio orpheusの音源をネットより入手

 キリル文字はもちろん読めないので、写真が当該音源を含むものかわかりません。Andrei Korsakov(1946-1991露西亜)は旧ソヴィエットでは著名なヴァイオリニストだったらしいけれど、例の如し短命、西側で著名に至らずに一生を終えたようです。フェドセーエフとのSibelius ヴァイオリン協奏曲(1982年)が話題になったかな?(残念未聴)これは露西亜の放送局による放送音源らしい。珍しくどれも、かなり音質状態のよろしいもの。こんな腕の立つ、個性的なヴァイオリニストが隠れていたんですね。露西亜系音源を集めた保存用DVDを点検していたら出現したもの。こうだからヲタク趣味はやめられない。

 自身ヴァイオリンの名手であったHenryk Wieniawski(1835ー1880波蘭)の「ワルツ・カプリース」は懐かしい民謡風旋律、溌剌として自在なソロが前のめりにならず、しっとり躍動しております。(6:23)マズルカはChopinでお馴染み、例の如し哀愁の旋律がつっかったようなリズムに歌って、力強いもの。(4:01)誰でも知っているPablo de Sarasate(1844ー1908西班牙)の著名な「ツィゴイネルワイゼン」を避けているのは偶然の収録でしょう。「アンダルシアのロマンス」は超絶技巧より優雅なロマンスを小粋に歌って、ミロシュニコヴァ(p)(詳細情報不明)の繰り返しリズムが印象的なもの。(4:13)重音なんてそうとう難しそうだけどね。「ツァパテアード」は激しいリズムが躍動して、快活な躍動が弾けます。ここの技巧は冴え渡って熱気溢れておりました。(3:08)

 アンドレイ・コルサコフはもの凄い美音というわけでもなくて、骨太であり着実正確、ヴィヴィッドな存在感がどれも素晴らしいもの。

 「ポーギーとベス」は彼の体臭前面なハイフェッツより気品があって、こちら旧ソヴィエットのヴァイオリニストだって魅惑の旋律に+たっぷりノリと節回しでは負けぬもの。「サマータイム」の重音もそうとう難しそう。これはいつ聴いてもお気に入りの旋律、Gershwin大好き。(6:13)

 ここからは管弦楽を伴うもの。引き続き音質良好でした。Chausson「詩曲」はしっとり妖しい叙情が漂う名曲中の名曲。旧ソヴィエット!みたいな先入観を吹き飛ばす繊細、纏綿と歌って、それは神経質に線が細いものに非ず、熱気に充ちたヴィヴラートもバランス感覚に支えられております。(16:21)凄い説得力。誰でも知っている哀愁の旋律Mendelssohnはサラサラと速めのテンポ、しかしハイフェッツのように前のめりに非ず、慌てずたっぷり歌って情熱的、時にテンポのタメも効果的、ボウイングも自然に、技巧的な不安は一切なし。(24:37)Tchaikovskyの2曲も有名な旋律、彼特有のほの暗い憂愁な旋律をたっぷり堪能させてくださる「瞑想曲」(10:16)懐かしく歌い上げる「メロディ」(4:15)はしっかり骨太、アツいヴァイオリンは説得力充分。

 ラスト、腕利きヴァイオリニストだったらトライしてみたい難曲中の難曲「カルメン幻想曲」。やや散漫な音質。Vladimir Kozhukhar(1941ー露西亜)という指揮者は初耳、ヴァイオリニストは亡くなる前年でしょ?技術的な衰えの影もなくて、例えばハイフェッツで聴けば一気呵成に壮絶!印象な作品も、意外なほど悠々と歌って堂々たる余裕です。各旋律の性格分け、表情の変化、テンポの選択も熟考されたもの。(10:08)

(2019年8月4日)

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written by wabisuke hayashi