Dvora'k/Smetana弦楽四重奏曲(ヴラフ弦楽四重奏団)


EMI(新星堂) SAN22
Dvora'k

弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 作品96「アメリカ」

Smetana

弦楽四重奏曲第1番ホ短調「我が生涯より」

ヴラフ弦楽四重奏団

EMI(新星堂) SAN22  1958年録音  1,000円

 室内楽も好きだけど、管弦楽作品に比べれば聴く機会が少ないもの。(廉価盤が少ないから?)

 初めて聴いた室内楽は、ハイドンの「皇帝」でしょう。レコードでは「アメリカ」でした。きっと中学校の音楽の時間に聴いて、気に入ったんだと思います。ドロルツSQの17cmLP。(オイロディスク?)
 社会人になってから、同じ演奏の30cmLPを買ったはず。(カップリングは記憶なし。調べてみるとスメタナだった)ドロルツなんて、今も昔もほとんど話題にならなかったけど、ワタシは好きでした。かつてチャイコフスキーとボロディンも出ていて、これもお気に入りの一枚。(DGの廉価盤LP−残念ながら処分済)

 で、ドロルツの話しではなくて、ヴラフSQのCD。(ネタが足りないもので・・・)1949年結成のヴェテランで、もうとっくに引退してるんでしょう。NAXOSからは、娘さんが結成した新ヴラフSQのCDも出ています。いまは知らないけど、チェコって「弦の王国」と云われてました。昔は有名だった団体ですが、録音は少なかったみたい。

 Dvora'kの曲は、どれもこれも懐かしい旋律の連続で、わかりやすい。「新世界」や「チェロ協」と並んでアメリカ滞在時の傑作でしょう。ヨゼフ・ヴラフのヴァイオリンが、暖かくてよく歌ってくれるんですよ。(娘さんとは貫禄が違う。先代は偉大だった・・・)旋律をよく歌わせるから、タメがあって、テンポが揺れて、それがハマっていて気持良。
 弾むようなリズム感は、まさに舞曲で自然とカラダも揺れます。楽しさいっぱい。中学校で音楽の時間に聴いて以来お馴染みの、第2楽章の節回しが決まっていること。

 Smetanaのほうは、もう少し悲劇的でシリアスな音楽ですよね。よく知らないけど、病気で耳が聞こえなくなった生活を表現しているんでしたっけ。

 ヴラフの激しいヴィヴラートが利いた「泣き節」が、もう最高。第2楽章における、大きく飛躍するようなスケールの大きな旋律の魅力。力まず軽快な(ここでも)「タメ」−これは名人の域じゃないかなぁ。
 第3楽章は、Dvora'kに負けないくらいのゆったりとした美しい旋律の宝庫ながら、悲劇的な感情が満ち溢れていて、味わいはずいぶんと異なる。高まる緊張感。
 最終楽章は明るく快活に始まって、そのアンサンブルの熱さとノリが尋常じゃない。途中から雰囲気が変わって、不安げな中低音のトレモロにのって、超高音のヴァイオリンが唐突に出現するところは「耳鳴り」でしょうか。やがて、静かなあきらめの境地に至る、情感のこもった、静かに抑えたアンサンブルも寂しげ。

 この暖かさ、有機的なアンサンブル、テンポの自然な揺れは最近見られない音かもしれません。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi