Chausson ヴァイオリンとピアノ、弦楽4重奏のためのコンセール ニ長調 作品21
(アッカルド)


Chausson 

ヴァイオリンとピアノ、弦楽4重奏のためのコンセール ニ長調 作品21

Saint-Sae"ns

ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調 作品75

アッカルド(v)/カニーノ(p)/レヴィン(v)/バトジェル(v)/ホフマン(va)/ウィリィ(vc)

DYNAMIC CDS207/1-4 1986/93年録音  4枚組$15.96 のウチの一枚

 いろいろエラそうにCDにコメントを付けてみるけど、声楽、室内楽はコメントというか、これといった感想が出ません。これはやはり「量をこなしているか」がポイントで、このショーソンは既にHPで取り上げていたし、よく馴染んだ曲なのでいろいろと感想もでるもの。アッカルドはメジャーなイタリアのヴァイオリニストですが、日本ではイマイチ人気はないでしょうか。

 室内楽は、管弦楽とは違った楽しみ方があるのでしょう。一人ひとりの妙技性とアンサンブル、自発性のバランス。少人数故の個性の明確化。アッカルド、カニーノは知名度の高い名人だし、選曲(ほかDvora'k、Verdi、Borodinの作品を収録)も楽しみにして注文したCD。(海外からの個人輸入)

 「協奏曲」には驚いてしまいました。この曲、トロリと官能的な旋律が気持ちよくて、なんともいえない素敵な曲。レ・ミュジシャンのフランス勢の演奏は、そんな期待に相応しい磨き上げられた洗練が耳に快い演奏でした。ハイフェッツの少々古い録音だって、官能性には薄いけど別格な色気があって、これはソロ・ヴァイオリンが別格に美しいから文句なし。ところが、アッカルド盤はかなり違うんです。

 ひじょうに明快で、歯切れがよい。ま、いかにも想像通りのイタリア風演奏。各メンバーの技術はいうことなし、音色も美しい。だけど健康的すぎて、ワタシが持っている「先入観」とかなりズレがある。スッキリとして、風通しの良い演奏というか、はっきり言って別な曲を聴いた思い。録音の加減かも知れないが、集中できずに音が拡散していく印象があります。

 これはこれで、おそらくそんなに悪い演奏ではないでしょう。この演奏から先に聴いていれば、「こんなもの」と思ってしまうはず。でも、この曲はもっとエッチに演奏しないとダメなんです。「こどもは聴いちゃダメ!」というような、禁断の雰囲気いっぱいであって欲しい。〜それにしても、この違いはじつに興味深い。


 サン・サーンスのヴァイオリン・ソナタは文句なしです。彼の室内楽は意外なほど録音が少ないので、この曲、恥ずかしながら初めて聴きました。やや陰鬱で哀愁的な旋律をよく歌ってくれて、淡彩と思いがちの室内楽にもこんな情熱が隠されていることを教えてくれます。

 アッカルドのヴァイオリンは、きめ細やかなヴィヴラートが清潔で、爽やかな響き。もしかしたら、この曲ももっと濃厚に演奏したほうがいいのかもしれません。録音は、ややオフ・マイクっぽいがピアノとヴァイオリンが適度の奥行きを持って、バランス良く鳴っております。カニーノのピアノもいつも通り細かい配慮の行き届いたもの。(2001年4月20日)


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written by wabisuke hayashi
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