Mussorgsky/Ravel 編 組曲「展覧会の絵」
(ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団1955年)
Tushmalov編(マルク・アンドレーエ/ミュンヘン・フィル1974年)


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組曲「展覧会の絵」

ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1955年)
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Mussorgsky/Tushmalov編

組曲「展覧会の絵」

マルク・アンドレーエ/ミュンヘン・フィル(1974年)

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   ネットより数々の音源を自由にダウンロードできる、しかも著作隣接権の考え方が国によって異なるせいか、西班牙辺りのサイトでメジャーな音源さえ入手できることを(最近)知りました。もとよりマニアックな性格故、CD化されていない、または入手困難なLP音源を中心に自主CD化続けております。かなり以前、NHKのテレビ番組にて拝見したMikhail Tushmalov (1861 - 1896年) 編曲による「展覧会の絵」(NHK交響楽団だったか?)もこんなところで再会できるとは・・・瑞西の指揮者マルク・アンドレーエは、この作品で全世界を行脚していたのかな?当時。

 その前に、パブリック・ドメイン化成ったヘルベルト・カラヤンの1955年旧録音を先に言及しておきましょう。今回初拝聴(?LP時代聴いていたっけ)。.mp3ファイル(通常の約1/10不可逆圧縮)で聴いても、かなり鮮明なステレオ録音、但し、例の如しでEMI録音には低音が足りない。それ以外は鮮度的にも広がり奥行きにも文句はない・・・けれど、この散漫なる印象は音質のせいなのか?それともカラヤンの表現の責任か、忙しすぎるフィルハーモニア管弦楽団のやる気問題か。

 ベルリン・フィルとの再録音同様、遅いテンポ。細部入念なる彫琢は、オーケストラの優秀なる技量と相まって、精緻なアンサンブルを実現しております。(一ヶ所チューバがおかしいが)悠揚迫らざるスケールと歩み、長い呼吸、美しく清潔な響きのオーケストラ〜これだけ条件が揃って結果、妙に醒めているというか、盛り上がりとか熱気に結びつかない。上手いが、作品に情愛を感じていないのか。妙に薄味。なんせ古今東西、名盤犇(ひし)めく名曲だから、”わざわざこれを聴かんでも〜”といった結論でした。

 全国に数多いであろうカラヤン・ファンの皆様、ごめんなさい。

 トゥシュマロフ(Tushmalov)編は全曲じゃないんです。作曲者の死語最初に登場した編曲であって、”トゥシュマロフ版は5番目以外の「プロムナード」、「小人」、「ビドロ」、「テュイルリーの庭」を省略した短縮版”とのこと。これが実際に音として聴けるのはありがたいことです。3管編成、ファゴット2、トランペット2、トロンボーン3、チューバ+各種打楽器+ピアノというけっこう大掛かりな編曲なのに、木管と弦が主体に聞こえるといった意外と、思ったより地味なサウンドであります。Rimsky-Korsakovの弟子なんだから(初演は師匠による)もっと派手派手しいサウンドか、と期待したんだけれど、いかにRavel が極色彩、ド迫力効果的緻密に管弦楽化したのかよく理解できる結果に。

 原曲の露西亜風テイストやら土俗的な雰囲気を期待したんだけれど、Ravel の刺激に慣れた耳にはややツマらない。常識的というか、想定の範囲内というか・・・アンドレーエの演奏も誠実で手堅いもの。音質かなり良好。ラスト、「キーウの大門」に於けるピアノ〜弦の絡みはなかなか感動的だけれど。”露西亜風テイストやら土俗的な雰囲気”だったら、Leo Funtek版がそんな方向だった記憶有。若い頃、FMで聴いただけだから自信はないが。

 その後、ド派手なストコフスキー版(これは大好き1965年)、現在だったらレナード・スラットキンの贅を極めた寄せ集め編曲に仰け反ること必定。人類は次々と刺激を求めて止みません。

(2011年3月25日)

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written by wabisuke hayashi