第34回 大東第九コンサート(守山 俊吾/大東第九をうたう会/
千里・フィルハーモニア・大阪/2023年12月10日大東市サーティホール)


第34回 大東第九コンサート(守山 俊吾/大東第九をうたう会/千里・フィルハーモニア・大阪/2023年12月10日大東市サーティホール) Eduardo Boccalari(1859-1921西班牙)協奏的幻想曲(ユーフォニアム/小野康行)
Weber アンダンテとハンガリー風ロンド 作品35(ファゴット/豊田陽菜)
Catalani 歌劇「ワリー」より「さようなら故郷の家よ」/Puccini 歌劇「ラ・ボエーム」より「私が街を歩けば」 (佐竹裕子(s))
Brahms ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 第一楽章「Allegro non troppo」(吉村佳莉凪(v))
Liszt 愛の夢 第3番 変イ長調(浜本麻実嘉(p))
Beethoven ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」第一楽章「Allegro」(細谷交子(p))

Beethoven

交響曲第9番 ニ短調「合唱付き」第4楽章「Presto〜」

守山俊吾/千里フィルハーモニア・大阪/大東第九をうたう会(合唱指導 森本恵子)/中村容子(s)/ 西畑賀世(a)/西影星二(t)/湯浅貴斗(br)

2023年12月10日(日)大東市サーティホール

 一年ぶりの「第九を歌う会」演奏会。団員の方にお誘いを受けたのでしっかり聴いてまいりました。

 ユーフォニアムとはテノールホルンのこと? Mahler 交響曲第7番ホ短調冒頭の、なんとも生ぬるい音色の楽器ですよね。Boccalariとは初耳、ソロはかなりの技巧を要求され、旋律は多彩でも伴奏はいかにも”ズン・チャ”っぽい感じ。これがWeberになると馴染んだ作品に、ソロと伴奏がいかにも有機的に絡み合って作品の質がぐっと上がります。豊田さんは大柄に真っ赤なドレス、まるで大輪の花が咲いたよう。CatalaniとPucciniのアリアはいかにも劇的に甘く、佐竹さんの高音がよく伸びました。ピアノが入るのですね。

 Brahmsはニ管編成なのに、ものすごく立派に響くのが名人の技。これは浪漫派の技巧的作品、よくBeethovenと比べられるけれど、こちらのほうが微に入り細を穿つ旋律はずっと難しそう。吉村さんは文句ない技巧の冴え、この辺りに至ってサーティ・ホールは低音が響いて、ティンパニや金管の鳴りがよろしいことに気付きました。甘い旋律のLisztは管弦楽伴奏付き、その前にハプニングが〜となりのお婆さんのスマホが鳴り出して、どうやらその止め方、そもそも電源の切り方がわかっていないらしい・・・呼び出し音は「川の流れのように」でした。

 「皇帝」は冒頭のティンパニに一撃から衝撃的! 今から250年ほど前にBeeやんはずいぶんと”映える”作品を作ったものです。いつもはこのデーハーなぶちかましを苦手としているけれど、実演での驚異の会場効果に驚くばかり。(ここで15分休憩/女性トイレは長蛇の列だったらしくて、前の席のお婆さんは戻ってきませんでした。後ろの方の席に座ったのかな?)

 「合唱」終楽章がまたド迫力。出足の風雲急を告げる「おお友よ!」が終わって、前3楽章を短く振り返ってやがて「喜びの歌」テーマが静かに奏られる〜これはMahler 交響曲第1番ニ長調第3楽章「Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen」にパロディとして影響を与えていると思います。そして昨年はマスク姿だった合唱は胸に染み入る素晴らしい全力爽快な歌唱、これはMahler 交響曲第8番変ホ長調の祝祭的雰囲気にまっすぐに繋がっていると実感できます。ソプラノ・パートに小学生男子一人前列にいるのも微笑ましいもの。ティンパニとトランペットのキレ、当時流行だった土耳古趣味の打楽器も効果的。日本人の正しい年末風情を心より堪能いたしました。馴染みの作品旋律は思いっきり新鮮。

(2023年12月10日)

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written by wabisuke hayashi