「コンサートへ行こう」へ

倉敷管弦楽団 第29回定期演奏会


2002年5月25日(日)PM 2:30〜倉敷市民会館にて  (再び)招待券いただいちゃいました

ROSSONI 歌劇「どろぼうかささぎ」序曲
Brahms ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
Dvora'k 交響曲第7番ニ短調 作品70

指揮 平井秀明/ 久保陽子(v)

 土日と広島で泊まりがけの野暮用有。昼前で切り上げて、新幹線「こだま」にて新倉敷〜倉敷へ。ずいぶん観光客は減っているみたいだけれど、倉敷は素敵な観光地だね。美観地区〜アイヴィ・スクエア(嗚呼、ここゆっくり写真を撮りたい)を抜けて倉敷市民会館へ。いつもの児島の体操服屋の若旦那と待ち合わせ。

 倉敷管は優秀なるアマオケだし、著名指揮者、ソロイストをつぎつぎと呼んで素晴らしい活動だけれど、演目がやや保守的かな?Brahms の代わりにStravinskyのヴァイオリン協奏曲なんか・・・・と思っていたけれど、この演奏を聴けばその考えも引っ込めざるを得ません。

 コン・ミス登場して音合わせが始まります。そのヴァイオリンが明快に会場に響くこと。倉敷市民会館は少々古いが、音はなかなかなんです。若き平井さん(33歳。丈一郎さんのご子息)颯爽と登場。「どろぼうかささぎ」って有名な曲でしょ?勢いありますね。打楽器が数人活躍して、とくにスネア・ドラムが音を微妙に調整して鮮度有。ああ、中低弦が響いて、倉敷管はここが一番の魅力か。

 Brahms のヴァイオリン協奏曲は楽しみですね。先週の岡響定期でオーボエを激賞したら「来週の倉敷管も凄いっすよ!」と事前予告メールが入っておりました。ま、その前に久保陽子さんが激演!まさに全身全霊を掛けて演奏してまっせ!というアウラばりばり!(体操服屋の若旦那と「あれだけ強烈に演奏すれば痩せまんなぁ」と、お互いの太っ腹をさすりつつ嘆息)

 細かいヴィヴラート、豊かで深い音色、完璧なテクニック、全身を折り曲げ、激しく揺らせ、ガッチリ大地に足を踏みしめて、小柄な体躯に情熱が迸ります。〜出ました。第2楽章オーボエ・ソロ。透明でどこまでもノビノビした歌。眼鏡の女性でした。入魂のひと吹きで会場の空気が一変します。冗談抜きで、こりゃベルリン・フィルだって負けないぜ、って連想しましたね。

 思いっきり浪漫的で濃厚な音楽を堪能しました。久保さんのアンコールはBach 無伴奏パルティータ第2番「グラーヴェ」〜なんという巨大なる宇宙を感じさせる音楽でしょう。ソロでもフル・オーケストラの協奏曲を凌駕するスケール。

 Dvora'kの交響曲第7番は、ちょっと作品が地味でしょうか。こうやってナマで聴くとBrahms にテイストが似てますね。人気の第8/9番に比べると、第1楽章の疾走感に不足するんだな。でもね、平井さんはリズム感がイキイキ素晴らしい。弦楽器が良く鳴ります。アンサンブルの水準も高い。このホールは中低弦が良く響くし、女性大多数コントラバスの岡響に対して、倉敷管は一人を除いて全員男性です。これはチカラ強い。

 フルートが絶品でした。名人はあちこちいらっしゃるもんですね。昨年も注目したティンパニの女性は全身でリズム感を表現してカッコいい。(体操服屋の若旦那談「芸能山城組か?」)

 第3楽章「スケルツォ」って、哀愁溢れる愛すべき旋律いっぱいでしょ?早めのテンポで颯爽とリズムの切れが素晴らしい。最終楽章〜もう勢いが止まりません。いつもながらナマでこそ、この地味な作品の真価が発見できました。

 なり止まぬ拍手にアンコールは平井さん自身の作品である歌劇「かぐや姫」より第2幕前奏曲。Bach の静謐さ・重厚さにBarberの甘さをまぶしたような、弦のみの佳曲でした。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi