「コンサートへ行こう」へ

岡山ポリフォニー・アンサンブル(O.P.E.)第18回演奏会


2002年11月24日(日) 16:00開演
岡山市民文化ホール  (もったいなくもご招待いただきました)

パレストリーナ  教皇マルチェスのミサ曲

坂本 尚史 指揮(無伴奏合唱 女声18名、男声13名)

「イギリス・マドリガル集」
混声合唱  6曲

日下 不二雄 指揮

ソプラノ・ソロ 2曲
鈴木順子(s) 山本栄子(cem)

「ルネッサンス舞曲集」

7曲

奥井伸二朗、奥野倫世、葛谷光隆、古金千枝、坂本尚史、高畠稔雄(リコーダー)
葛谷光隆、坂本尚史(クリムホルン)
奥野倫世(fg)

(休憩後)

J.S.Bach

クリスマス・オラトリオ BWV248 第5部「栄光あれと、神よ、汝に歌わん」

鈴木順子(s)脇本恵子(a)有馬雄二朗(t)秋山啓(b)
坂本 尚史 指揮/岡山ポリフォニー・アンサンブル/器楽アンサンブル(10名。オルガン含む)

 岡山は中途半端に都会でね、出不精のワタシが音楽会に行くのにはちょうどよい回数の演奏会があるんです。岡山ポリフォニー・アンサンブルは、ふだん絶対に聴かないであろうマニアックかつ美しい作品(声楽曲)を極上のアンサンブルで聴かせて下さいます。

 仕上げはナマBach でっせ。これ以上の贅沢があろうか?(いや、ない!)会場は昨年と同じ、800人の会場に300人強の来客かな?開演前にチェンバロの念入りなチューニング風景有。(ああ、たしか組み立てたやつね)


 パレストリーナ。聴きませんね。CDは手元に一枚くらいあるかも。(記憶なし)正装で合唱団登場。白髪の紳士坂本さんが最初の音を確認したら、やわらかで天の声が会場に降り注ぎました。軽やかな目眩さえ感じさせる陶酔のひととき。

 「グローリア」「クレド」では、坂本さん自らがソロ(これが、まぁ朗々としてぇ)で開始するんですよ。静謐さが支配する、透明かつ明確なアンサンブル、繊細さが絡み合い溢れ出る旋律〜演奏者自らが感じ入って歌っている。右端の日下さんは、相変わらず堂々たる体躯を揺らせて。

 で、ふと隣を見るとこども連れのお父さんが眠っている。逆のななめ前を見るとお姉さんも眠っている。これはね、キモチ良いからなんですよ。素晴らしい。会場の拍手が暖かい。


 つぎは日下さん登場なんだけど、「坂本さん=聖」「日下さん=俗」分担みたいで、例年ここで服装が変わるんですよ。予想通り、なんやらタータン・チェックのマフラー風は男声、女声は大きなスカーフ風を腰に、雰囲気作ってますね。

 で、日下さん登場。真っ赤なシャツですよ。リコーダー4人のアンサンブルが素敵ですよ。(すべての訳を下さったので、勝手に)

「初めてあなたを見たときから」

初めてあなたを見てから
あなたに惹かれてしまった
もしかしてあなたに愛されないなら
本当にに悲しい
愛し合う二人は
もう仲違いすることなんかない
ええ、もうずっと一緒。
私の心はあなたから離れない

日の光は輝きに満ちていて
もうただ見守るだけ
あなたの美と知恵に満ちた
やさしさで私はもう動けない。
どこでも、あなたがいる限り
私はあなたについて行くだけ。

〜素敵でしょ?素朴で喜ばしい表情。弾むようなキモチ。2曲終わって鈴木さん(元バッハコレギウムジャパン)登場。すみれ色のドレス、銀色のハイヒールが素敵。グリーンのチェンバロ(嗚呼、かそけきニュアンス豊かな音色)も出てきました。

 ノン・ヴィヴラートでそっと歌い出すと、再び気が遠くなりそう。「柳の歌」を表情豊かに歌って下さいました。楽譜は持っているが、まっすぐ観客を見つめてくださって。「バーバラ・アレン」は、まるで民謡みたい。懐かしい。誰もが「これなんか知っているかも」風の旋律でした。

 再び合唱に戻って、こんどはア・カペラです。「すべての木々は」はウィールクスの作品で、ようやく名前を知っている作曲家に出会いました。


 ルネッサンス舞曲集は全7曲。大小さまざまなリコーダーに、ユーモラスなノイズっぽい音を出す「クリムホルン」も入ります。楽しい。奥野さんが打楽器(数種の太鼓、タンバリン、小さな鐘みたいなもの、鈴)を担当するんですが、じつはこの人、ファゴットなんですね、もともと。(チャイナ服素敵でしたよ)


 休憩後Bach 。

 いつもいつも実演を見ると驚くが、Bach の管弦楽編成は小さいんですね。ヴァイオリン3、ヴィオラ、チェロ、バス、ファゴット各1、オーボエ2(一本は少々大きくて先が膨らんでいた)+ポジティヴ・オルガンのみ。これで巨大なる音楽を作り出します。

 たしかに、さきほどの音楽は素敵でした。でもね、Bach が聞こえてきたら、もうボロボロに痺れます。この躍動感、合唱との完璧なる絡み合い。旋律の多彩さ、色彩の鮮やかさ。

 有本団長がテナーの福音史家です。いやぁ、色男ですよね、見た目も声も。最高でっす。でもね、ワタシ脇本さん(アルト)の大ファンなんです。だいたいBach はアルトが活躍するでしょ?深く、ふくよかな声質。気品あふれる堂々たる容姿の美しさにも文句なし。きょうも素敵でしたよ。

 バスの秋山さんて、もしかして昨年の「第九」でソロだったかもね。この貫禄。Bach って、必ずソロの歌い手にオブリガート楽器が付くでしょ。絶妙の絡み合い。ヴァイオリン、オーボエ、バス、いやもう名人でっせ。

 三重奏アリア「ああ、その時はいつ」が白眉ですね。クリスマス・オラトリオを聴いたら、もう少しでほんまのクリスマス。そういえば、コントラバスの青木さんは「岡響美人コントラバス集団」のメンバーじゃないの?もしかして「永作か?」とワタシが比喩した。

 表情を変えずに、淡々と弾いていく姿にゾクゾクしますね。背がそんなに大きくないのに、でっかい楽器を縦横に扱って行きます。合唱の水準の高さは言わずもがな。アンコールはゼレンカの「マニフィカト」〜ラスト「アーメン」。

 今年も一年が終わっていきます。暖かい音楽をありがとうございます。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi