長久手フィルハーモニー管弦楽団 創立15周年記念 第24回定期演奏会
(2015年12月20日(日)長久手市文化の家・森のホール)


Mahler

交響曲第2番ハ短調「復活」

松井 慶太/長久手フィルハーモニー管弦楽団
渡部 純子(s)/ 池田 香織 (a)/長久手市民第九合唱団 愛知祝祭合唱団

2015年12月20日(日)長久手市文化の家・森のホール 16:00開演

 前回の演奏会体験は2014年夏以来、引き隠り状態極まって、どこにも出掛けたくない状態続きました。ま、人生に「復活」なんて、そうなんども経験できぬものですから。人口わずか6万人に及ばぬ地方都市(しかもアマオケ)で「復活」演奏、立派なものですよ。文化の家ホールは舞台も客席もそう大きくない中ホール、指揮者演奏者との距離もずいぶんと近いもの。

 いつも音楽の缶詰ばかり聴いて、いくら優秀録音!といっても実演の鮮度に適うはずもなし、実演を基準として音質云々すべきなのは当たり前、お気に入りMahler 交響曲も実体験してこその画竜点睛、残すは第4番第7番のみ、たしか岡山時代ズービン・メータ/イスラエル・フィルの第7番があったけれど、出張スケジュールの関係で拝聴機会を逃したものです。第4番が演目に掛かることはなぜか少なくて、なかなか生体験できません。「復活」は2度目、前回は岡山からわざわざ神戸迄出掛けたものです。年末に「第九」も悪くないけれど、祝祭的雰囲気溢れて一年の振り返りに「復活」こそ相応しい。満席、客のマナーもよろしく感動的な演奏会でしたよ。

 ウォーミング・アップは「ハレルヤ」コーラス。弦+トランペット+ティンパニというシンプルな編成に、輝かしくも喜ばしい合唱がけっこう強烈、コアなメンバーに+臨時編成ですか?「復活」への期待を膨らませる上出来な開始。合唱退出、その他管弦楽メンバー入場して休憩なし、そのままMahler始まりました。指揮は若い松井さん、31歳!長身イケメン也。

 なんせ客席と近いので、各演奏者至近、左側にずらり打楽器並びます。6人?ティンパニ二人、大太鼓小太鼓、ドラ、シンバル2種、トライアングル他・・・オーラスに参入するオルガンは残念、パイプオルガンじゃないのは仕方がない(ラスト感動のダメ押し役)。ほとんど全編、舞台左手の打楽器チームに注目しておりました。

 第1楽章「まじめで荘厳な表現で一貫して」ゴリゴリの低弦から緊迫溢れる集中力、やたらと大音響ばかりといった記憶とは異なって、各声部のパートが浮き出るようなバランスとか旋律分担をして、そのニュアンスの工夫に驚きます。シンバルだって二種類使い分けている。コンマスのソロも頻出するし、弦のパートを分けて奏しているのも目撃しました。コンマス先頭に弦は渾身の力演!金楽器の乱れなんのその、圧巻の迫力に打たれました。(5分間の休憩はなし)

 第2楽章「きわめてくつろいで、急がずに」。なんやオモロないおとなしい楽章やなぁ、と思っていたけれど、第1楽章の緊張感に疲れたら、この楽章の優しい風情が癒やしなんでしょう。ラスト辺り、ヴァイオリン、ヴィオラは全員楽器横持して、ギターみたいなスタイルでピチカートするんです。その風景も興味深いもの。第3楽章「静かに流れるような動きで」〜大好きな「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」は躍動するスケルツォ。大昔、ズービン・メータの演奏でティンパニがはっとするくらい際立っていたけれど、生体験はもっと凄いもんでっせ。金管参入して大爆発するところも爽快そのもの。

 第4楽章「原光(きわめて荘重に、しかし素朴に)」。池田さんが「赤い小さな薔薇よ・・・」と深く、神秘的に歌い始めると、もう夢見心地。金管が静かにコラール風に絡むところも絶妙のバランスです。第5楽章「スケルツォのテンポで、荒野を進むように」ここ最終楽章、再現部から静かにホルンの呼び声に導かれ、フルート、ピッコロが夜鶯を模するでしょ?ここから以降がワタシがこの作品に初めて目覚めた、大好きなところ。あとは立派な男声合唱〜女声ソロ二人によるあまりに感動的な「復活」に身も心も委ねるばかり・・・(トランペット二本が裏手に回るのも、実演で初めて確認出来)

 第1楽章の緊張感にやや慄きつつ、やがて第4楽章の「赤い薔薇」以降は一気呵成です。長大な作品は短く感じて、お客さんも皆集中しておりました。満席の聴衆の過半は初めて聴く作品と類推するけれど、美しい旋律、迫力と各パート、旋律を堪能したことでしょう。

 佳き演奏会でした。

(2015年12月21日)


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written by wabisuke hayashi