森ノ宮ライゼコール&アンサンブル・クランクレーデ第25回演奏会
「オール・バッハ・プログラム」(2012年12月15日(土)伊丹アイフォニックホール)


Bach

カンタータ第42番「この同じ安息日の夕べ」BWV42より「シンフォニア」
ミサ曲 ト短調BWV235
柑本裕子(a)/藤田大輔(t)/林康宏(b)

カンタータ第51番「すべての地にて神に向かって歓呼せよ」BWV51
吉村千秋(s)/横田建徳(tp)

ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
坂田敏弘(v)/石井満、安江桜子(リコーダー)

カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」BWV147
谷野裕子(s)/玉置敬子(a)/藤田大輔(t)/林康宏(b)

(アンコールは「きよしこの夜」)

森ノ宮ライゼコール&アンサンブル・クランクレーデ
中安公則

2012年12月15日(土)18時〜伊丹アイフォニックホール

 意に沿わぬ年末切羽詰まった土曜出勤、お仕事終えて演奏会に行きました。お気に入り作品は生体験でこそ”画竜点睛”、ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調と「心と口と行いと生活で」〜とくに「主よ、人の望みの喜びよ」を聴きたかった。最寄りの駅を降りたら雨模様、傘もささず会場を目指す中年草臥れサラリーマン一人・・・当日券買いましたよ。パンフレットいただいて、初めて古楽器のアマチュア団体だったことを知りました。通奏低音と管楽器は賛助出演みたいでした。

 Bach のカンタータだったらできるだけ聴いたみたいのは前提、バロック音楽はCDで聴くべきバランスと、実演の違いを確認したい。とくにトランペットね。「シンフォニア」始まりました。これは弦楽器+オーボエ+通奏低音。まだメンバーのエンジンが掛からないのか、それとも古楽器故の技術的なハードル問題か、ややアンサンブルに正確さと精細を欠きます。ノン・ヴィヴラート奏法、チェロにはエンド・ピンがなくて膝で抱えるんですね〜疲れないのかな、きっと。柔らかい響き、オーボエは粗野で野太く、不安定・・・なところが魅力なのでしょう。

 これがミサ曲ト短調に至って、声楽が入ると印象一変!所謂オペラみたいな歌い方じゃなく、それこそ正確かつ清涼なる昨今のスタイル、古楽器アンサンブルもみごとに映えました。この合唱団はピカイチ!「すべての地にて神に向かって歓呼せよ」BWV51は清純なソプラノと、トランペットの掛け合いなんです。横田建徳さんはは長〜いバロック・トランペットを持参して、朗々と柔らかい響きで支えます。素晴らしい技巧。ちゃんと後方に陣取って、音量バランスを考慮しているんですね。(BWV147も同様)

 休憩後、期待のブランデンブルク協奏曲第4番ト長調初体験。これはリコーダーのバランスに注目しておりました。大ホール、現代楽器、編成が大きければフルートという選択も出てくるのでしょう。アイフォニック・ホールは500席、ソロ・ヴァイオリン(超絶技巧を要求される作品に全力で応えておりました)、他ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ各一人+通奏低音+リコーダー2本。古楽器のあまり華麗に響かぬサウンド、バランスは理想的です。それにバロックって、チェロ(ときにコントラバス)+チェンバロ(またはポジティブ・オルガン)こそキモであることを思い出させる活躍。

 エンド・ピンのないチェロだけど、時々ヴィヴラート掛けてましたね。奏法的にそんなのも有なのかな?チェンバロの息の合い方は絶妙。穏健派のソフトな表現+適度なノリを堪能いたしました。横田建徳さんのマイルドなトランペットを聴いて、これだったら生で聴きたいな、と希望が出ました。

 「主よ、人の望みの喜びよ」はもっともお気に入りの旋律のひとつ。万感胸に迫ります。マイルドな古楽器+溌剌とした声楽で体験できるシアワセ。各声楽ソロは団員なんでしょ?自分の役割を果たしたあとの満足気な表情の素敵なこと。ここでも横田建徳さんのトランペット大活躍。もちろんちょっぴり粗野なオーボエ、見事な通奏低音も。

 アンコールは古楽器伴奏で「きよしこの夜」。中安さんは「3度同じ旋律を繰り返すから、皆で合唱して下さい」とのこと、2度めは清純なるソプラノ・ソロ(英語)でした。3度めは会場全員で合唱。ワタシも高音微声を朗々と披露したら、後ろの席の(自分より)お姉さんが3度下でハモって下さいました。

(2012年12月15日)


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written by wabisuke hayashi