岡山ポリフォニー・アンサンブル(O.P.E.)第17回演奏会
2001年11月18日(日) 16:00開演 ラッスス ダヴィデの懺悔詩編曲集7・詩編142(143) 坂本 尚史 指揮
「フランスのシャンソン集」 日下 不二雄 指揮
「歌と器楽によるルネサンス小曲集」 Bach ミサ曲ト短調 BWV235 坂本 尚史 指揮/秋山 啓(b) 脇本恵子(a) 有馬 雄二郎(t) (アンコール)Bach 《われ信ず、尊き主よ、信仰なきわれを助けたまえ》 BWV 109 より「コラール」 岡山ポリフォニー・アンサンブル/器楽アンサンブル ワタシの守備範囲はBach 迄なので、ルネサンス辺りはナマじゃないと聴きません。Bach もけっしてメジャーな作品じゃないし、これだけ渋い選曲で400名ほど会場いっぱいに集客できるのも凄いもんです。岡山市民文化ホールは初訪問だけれど、相当古くて狭い会場ながら音響は悪くない。今回も馴染みの児島在住K氏同行(彼は学生時代、このような合唱をされていて、今回はワタシへの懇切丁寧な解説付きでした)。 師匠K氏の解説によると、ラッススは半音階を多用し、いわばロマンティック(意味が違うが)な旋律溢れる難曲とのこと。伴奏なしの合唱は至難のワザらしい。これはもう天上の響きと呼んでも良い、澄み切った高潔な音楽でした。前日睡眠不足だったワタシは、睡魔との激しい戦いを余儀なくされたが、K氏評「各声部の微妙なバランスが見事な高い水準」とのこと。人間が眼前で呼吸しているという、たしかな息づかいはCDでは感じ取れない貴重なもの。 ここで早速休憩。お次の「フランスのシャンソン」が洒落て楽しいんです。前回も同じような構成になっていて、第1曲目が教会音楽、お次が世俗曲でしょ。昨年は男性群はセーターだったが今回はマフラーで、女性群は〜あれなんていうのでしょう〜お揃いのベストみたいなのを上に羽織りました。 リコーダー数人登場。先ほどの高潔な旋律から比べれば、ずいぶんと親しみやすい旋律を奏でだすと、三々五々合唱団が出てくるんです。ま、題名だけ見ても想像がつくと思うが、16世紀初頭でもフランスは粋だったみたいで、「うちの亭主は・・」は奥様の浮気のユーモラスな内容。「恋の手習い」は、そのものズバリ(というわけでもないが)若者のエッチなおはなし。「すてきな遊び」「この美しい五月に」も、男が若い娘を追いかけてキスするということらしくて、躍動するイキイキとしたリズムがありました。 リコーダー6人(だったかな?)+ハープ(膝の上に乗せる小さなやつ)で「ガリヤルド」が始まります。これ昨年も楽しみました。なんか民族衣装みたいな(小澤征爾の指揮者服の色違いのような)ものを身につけて、軽快で明るいリコーダーのハーモニーはワクワクします。古金さんの「スカボロフェア」は、サイモンとガーファンクルの本歌で、CMなんかでもよく流れていたのでお馴染みです。 クリムホルンって、クニャリと曲がったチャルメラ状の音色がユーモラスなもの。ハープのかそけき音色も素朴ではかないが、ラストは太鼓とタンバリンが入って一気に盛り上がりました。 トリはBach です。この曲、当日予習していったが(フレーミヒ/ドレスデン)、涙が出るほどの名曲なんです。ヴァイオリンが3名、オーボエ2名、あとヴィオラ、チェロ、バス一名ずつ、オルガン・チェンバロ兼任の小さな器楽アンサンブルながら、宇宙的な広がりとスケールを感じさせます。ラッススもシャンソンも、スカボロフェアも素敵だったが、Bach が出てくると、もうお仕舞いです。一気にその魅力に吸い込まれてしまう。 合唱の表情豊かな充実ぶりに文句なし。オーボエの雄弁な節回しにも痺れました。昨年からお馴染みの脇本さんのふくよかなアルトも絶品だけれど、団長である有馬さんの美声は今年も健在でした。アンコールには、リコーダーも参加されてたいへんな熱気でした。 OPEの演奏会が終わると年末ですね。一年の経つのは早いものです。すっかり寒くなって、ワタシは少々風邪気味でした。
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