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アンサンブル・フリー第8回演奏会(尼崎アルカイック・ホール)


2007年5月19日(土) 19:00開演〜尼崎アルカイック・ホールにて  入場無料

Schubert

交響曲第1番ニ長調

Bruckner

交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版)

浅野亮介/アンサンブル・フリー

   傍目の評価ともかく、自分なりに”ナマ演奏に行ける状態となった”と判断し、転居後初の演奏会です。地元だし、無料だし、演目も好みでして、転居前から情報をいただいていた演奏会でした。アルカイック・ホールは(当然)初訪問でして、2,000人収録の立派なもの。壁が煉瓦であること、座席がクッション厚めで音響少々心配だったが、それは杞憂であって適度な残響に芯も感じさせるなかなかの会場でした。アンサンブル・フリーについてはリンク先の情報のみだけれど、さて演奏会ごと一回の臨時編成の成果は?客の入りは400〜500名か。都会は岡山と違ってクサるほど演奏会があるから、客動員には苦労することでしょう。

 団員が登場すると、いかにも皆若い!頭髪方面不自由な男性ひとりも存在せず、白髪交じりのメタボリック中年も見あたらない。男性多数派です。指揮の浅野亮介さん登場すると、彼も存分に若くて、しかもラフなブレザー・スタイル(ノー・タイ)もエエじゃないですか。Schubert 交響曲第1番ニ長調は、フルート一本のそう大きくない編成だけれど、弦の人数が多いですね。コンサートが進むにつれ徐々に理解は深まるが、このアンサンブルのウリは”弦”なのでしょう。演奏始まりました。響きが厚い。表現は楷書だけれど、微妙に細部味付けがいろいろあります。

 浅野さんの指揮は独学(指揮棒は使わない)だそうで、けっして”カッコ良い”ものではないが、個性指示が徹底され、非常によく”弾けている”、”鳴っている”という印象です。興が乗って爆発するところ(かなり迫力有)では、指揮をしないで流れと勢いに任せている部分もありましたね。岡山でもずいぶんと立派なアマチュア・アンサンブルを拝聴してきたが、おそらくはかなりの技量で聴かせる水準であります。

 Brucknerはテンポの遅さ、テンポ設定の入念なる設計(”間”の意識、テンポが揺れる部分での詳細具体的な指示)は、けっして不自然ではない。そうだな、印象としてはチェリビダッケ方面か。弦のアンサンブルは優秀であり、良く歌い、皆リズムを感じてカラダが揺れております。第2ヴァイオリン/ヴィオラ辺りの地味なパートも明確に鳴っていて、これは意識された表現なのでしょう。木管群(とくにフルート)の歌にも賞賛を惜しまないが、このテンポ設定に金管は少々苦戦気味か。それでも”並のアマオケ”水準ではないと断言しましょう。久々、ワーグナー・チュバーのくすんだ響きを堪能させていただきました。

 白眉は(やはり)第2楽章長大なる「アダージョ」でしょう。ワタシは打楽器の入らない版をふだん好むが、シンバル、トライアングルの効果は絶大です。ティンパニはリズムの正確さと音量のバランスに於いて名人芸、先ほど”金管は少々苦戦気味”と書いたけれど、ここぞ!というところの大爆発に会場も揺らぎます。もちろん、コンマス先頭に弦楽器も渾身のアクションで一歩も引きません。

 終楽章は逆にテンポを速め、全体を引き締めます。”間”は常に、各所で意識され充分に効果的。煽ったり、走ったりしない、楷書の表現続きました。浅野さんの主張や個性が空回りせず、若手アンサンブルは立派な成果を上げていると言って良いでしょう。素晴らしい演奏会でした。しかも無料也。

 開演が夜7時というのは、京阪神方面の常識なのでしょうか。(演奏者/聴衆の)お仕事の都合かな?できれば30分早めて欲しかったところ。演奏終わると同時にバス停にダッシュしましたもの。マチネだったらいっそうありがたいが・・・  


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written by wabisuke hayashi