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Bach 「ヨハネ受難曲」〜岡山バッハ・カンタータ協会創立20周年記念/
オーケストラ・アンサンブル金沢/ペーター・シュライヤー指揮
2007年3月24日(土)PM 6:30〜岡山シンフォニー・ホール
Bach
「ヨハネ受難曲」
ペーター・シュライヤー/岡山バッハ・カンタータ協会創立20周年記念/オーケストラ・アンサンブル金沢/ユーリア・コルパチョヴァ(s)池田香織(a)アレキサンダー・ユデンコフ(t/福音史家)多田羅迪夫(b)ソン・ドン・クォン(b)
転居まであと一週間。岡山での楽しい想い出を締めくくるような、素晴らしい演奏会にご招待いただきました。(馴染みの児島の体操福屋の旦那同行)「ヨハネ」は「マタイ」より少々魅力が落ちる?なんて不遜なこと語り合いつつ本番突入、岡山シンフォニー・ホールは満員でしたよ。ペーター・シュライヤーは既に指揮に専念して、福音史家(エヴァンゲリスト)は若手のユデンコフに任せているんです。
すべてはナマ体験で氷解する〜これが当たり前の結論であります。シュライヤーのBach 解釈は既にいくつかCDで聴いている通り、やや速めのテンポ、軽快なるリズムを身上としたものだけれど、古楽器系とは言い切れない時に旋律のタメもちゃんとありました。オーケストラ・アンサンブル金沢は(もちろん、当然)滅茶苦茶上手いオーケストラだけれど、全体として抑制を利かせ、あくまで合唱をメインに据えておりました。
ユデンコフはモダーンでスマートな歌唱であり、全曲暗譜で通すのは見事なもの。合唱は表情豊かであり、繊細なる変化に富み、強弱のメリハリ圧倒的で説得力が深い。電光掲示板で対訳がちゃんと表示されるんですよ。合唱は群衆のどよめき、そしてコラールは”教訓”を表しているんです。現代楽器による演奏(ガンバとリュートは登場する)だけれど、大柄雄弁な表情ではなく、あくまでBach に相応しい奥床しさを湛えます。
「マタイ」では魂を揺り動かすような情感、浪漫的とさえ表現可能な旋律が昂揚します。「ヨハネ」は劇的叙情的な旋律の果て、清廉たる静謐に至りました。「ヨハネ」には個性の異なる旋律が光を放っておりました。たかだかマンションの片隅で再生された”音楽の缶詰”でなにがわかるのか?ワタシはまた、ひとつ大きな感動とともに発見をしたのでした。
二時間、休憩抜きで身じろぎもせず集中させていただきました。お客のマナーもよろしかったと思いますよ。拍手は、しばしの静寂のあとにやって参りました。
ワタシは既に大阪でのお仕事に四苦八苦しているが、岡山には最後まで佳き想い出を作っていただきました。感謝。
(2007年3月24日)
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