「コンサートへ行こう」へ

カール・ライスター クラリネット・リサイタル


2003年10月29日(水)PM7:00〜岡山シンフォニー・ホール

DANZY クラリネット・ソナタ 変ロ長調
Mozart ピアノ・ソナタ第11番 イ長調K.331より「トルコ行進曲」*
Mendelssohn クラリネット・ソナタ 変ホ長調

Weber 「魔弾の射手」による幻想曲
Mozart 幻想曲ニ短調 K.397*
Weber 「オベロン」の主題による小さな幻想曲
Schumann 幻想小曲集 作品12より「なぜに」*
Verdi 「リゴレット」による演奏会用幻想曲

カール・ライスター(cl)/土居 知子(p)* ピアノ・ソロ

  コカ・コーラよりご招待いただきました。

 凄いですよね。2000人を岡山シンフォニーホールにご招待なんて。満杯でした。中学生、高校生もたくさん来ていました。吹奏楽やっている子達かな?みんな、お行儀良かったですよ。但し、演奏が始まってから入ってきたり、曲の途中で出ていったり(これは主に社会人)・・・には少々閉口気味だけれど。

 ライスターは1937年生まれだから66歳か。1959年から1993年迄ベルリン・フィルの主席として、揺るぎない評価を得たのは今更言うまでもなし。似たような選曲のCDを持っていたし、正直、録音と寸分違わない完成度に感心もし、その上でナマの感興(それは聴き手であるワタシの思いもある)が加わって極上のひとときでした。

 ワタシ、ライスターの音について、いつも感じることがあります。ド・シロウトなので勘違いかも知れないが、ベルリン・フィルやウィーン・フィルって「ドイツ管」でしょ?「フランス管」はもっと派手な響きで、これが世界的には圧倒的に主流であると。ずいぶんと地味で、素直で、まっすぐな、ある意味「な〜んもせんけんね」的音色に思えます。

 でもね、これこそが真の名人芸〜低音から超高音まで、音質がバラつきなくスムーズで、正統なスタイルを崩さない。高音で音が鋭くなりすぎない(若手の上手い人って、ここらが録音では気になります)、ヴィヴラートがほとんどない。技巧の乱れがまったくないのはあたりまえ。前半は立ち上がって、後半は椅子に座って演奏して下さいました。カラダはかなり動かすんですね。

 旋律の出足がす〜っと、いつのまにやら、じんわりと地面から清水が湧き出るように鳴り出します。旋律やグリッサンドが滑らかで、まるでつながったひとつの音に聞こえる〜って、コレ、カラヤン時代のベルリン・フィルの特徴そのままじゃん。あまりに素直で、自然で、虚飾がなくて、なんの労苦もなく音楽が生まれてくる・・・クラリネットという楽器が勝手に鳴っている〜そんな錯覚が続きました。

 やっぱり、掛け値なしの世界一のクラリネットですからね、ちゃんと聴いておきましょ。ああ、ずっと人の息を酷使して演奏する楽器だからかな?土居さんのピアノ・ソロが合間に挟まります。2000人のホールでは残響あり過ぎで、やや響きが濁ることもあったけど、知っている曲ばかりだし、弾きっぷりが明快でとても楽しめました。

 弱音が美しい。とくにSchumannね。この作品、大好きです。全曲聴きたかった。さて、きっとアンコールがあったと思うけど、バスの時間が迫って先に失礼しました。帰りにコカコーラとコーヒーの缶をおみやげにいただきましたよ。(2003年10月30日)

  


【♪ KechiKechi Classics ♪】

愉しく、とことん味わって音楽を
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written by wabisuke hayashi