「コンサートへ行こう」へ

保科アカデミー室内管弦楽団
"アンサンブル・ハルモニア"第7回定期演奏会


2003年8月24日(日)PM6:30〜倉敷市芸文館ホールにて
チケット代 1,500円

Wagner ジークフリート牧歌

Respighi 「リュートのための古代舞曲とアリア」第3番

Debussy 「牧神の午後への前奏曲」

Ravel 「亡き女王のためのパヴァーヌ」「クープランの墓」

保科 洋 指揮/保科アカデミー室内管弦楽団"アンサンブル・ハルモニア"

 しばらくナマの演奏会はサボってしまって、夏の終わりにようやく重い腰を上げました。保科アカデミーは腕利き集団だし、なんせこの演目でしょ?クソ暑い時期に独逸系交響曲はご遠慮したい。「牧神」は先日ナマで経験したが、それ以外はもちろん初めて。意外と演奏会ではやらないないんじゃないかな。大好きな曲ばっかり。

 ことしは秋山さんじゃなくて、御大保科先生が指揮するんですね。ああ、持田香織似のコンミス様も一年ぶり。パンフレットによると、岡大響のOB(=保科先生の弟子筋)が全国から集まっているとのこと。千葉からも練習に通ったと書いている。凄い。素晴らしい。人生ここまで入れ込まなくっちゃ。

 三々五々舞台に登場して勝手に音を出しているのは、いつものスタイル(アメリカン・スタイルと呼ぶらしい)。ジークフリート牧歌始まりました。これ難曲だね。(ほかの曲も全部難曲っぽいが)ココロ安らぐ美しい旋律は、存分なる技巧で表現されました。例の雄弁なるホルンなんか最高。

 でもね、まだ演奏会冒頭でちょっとカタさもあるのかな。弦と管にやや隙間を感じました。両方とも上手いけど、聴いていてイマイチ居心地が良くない。「音がとぎれる」印象有。会場の残響が足りない?いえいえ、この後の演奏がすべて有機的かつ感動的な演奏だったから、そんなことはないでしょ。

 「リュートのための古代舞曲とアリア」〜この作品を眼前で経験できるとはねぇ〜感慨深く聴いていたら、この弦がまったく素晴らしい。充実したアンサンブルと集中力。「古代風」の旋律は「嘆き」ですね。CDではここまでの「哀しみ」は伝わりません。チェロのアルペジオはリュートを模しているんでしょうね。某パスタの宣伝で有名になった寂しげな旋律(CMではリュートだったが)も、堪能しました。


 ここで休憩。この会場はきれいで小さくて、駐車場も便利で好きですね。ロビーでコーヒーを売って下さるのもありがたい。(200円の良心価格)

 室内オーケストラ版の「牧神」は清潔でした。ここから三曲はハープが活躍するんです。全体の編成が小さいからその旋律が良く映える。フルートの音色は官能を求めたいが、清潔で生真面目、木管群は達者。この曲、知ってました?フルート・ソロには、第一ヴァイオリンが抜けて、くすんだ中音の弦で飾るんです。

 「パヴァーヌ」って、思わず手を合わせたくなるような神々しさを感じますね。主役はホルンとハープ。この繊細さ、ナマでたしかに受け取りました。「クープランの墓」〜冒頭、オーボエがクルクル旋律を回すでしょ。それをクラリネットが支えていたんですね。相当な難曲と思うが、存分に消化しているのはもちろん、保科さんはリズム感を強調して、テンポの対比も際だたせます。なんとイキイキと効果的か。

 アンコールは「夢」(保科さん編)〜甘い旋律に酔いしれます。ああ、これは得難い演奏会でした。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi