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保科アカデミー室内管弦楽団
"アンサンブル・ハルモニア"第6回定期演奏会


2002年9月15日(日)PM6:30〜倉敷市芸文館ホールにて
チケット代 1,800円だけれど、いつものことながらご招待いただき深く感謝。

BETTHTOVEN

ロマンス ヘ長調 作品50

鷲野 亜紀(v)

ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品15

有森 博(p)

交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」

秋山 隆 指揮/保科アカデミー室内管弦楽団"アンサンブル・ハルモニア"

 ワタシは、海外来日有名無名演奏団体/ソロ演奏会にはあまり興味がなくて(チケット代が高いのが主たる原因)ご近所アマチュア演奏会が主たる守備範囲です。知っているお顔もありますしね。今年はなんやら仕事が立て込んでいて、なかなか演奏会に行けません。(気持の問題か?)おそらく「アンサンブル・ハルモニア」が、ワタシの縄張りではもっとも「凄い」演奏をしている、と思います。

 選曲がね、硬派ですよ。自分の部屋でBeethoven を3曲続けて聴くことはあり得ないが、席数860の中〜小規模ホールで、眼前でこんな集中力見せられたら脳髄が痺れます。おそらく岡山大学交響楽団OB中心の「まだまだ、やりたいぜ!」メンバーが結集してできた団体なんだろうけど、鍛え上げられたアンサンブルに驚くばかり。今回のツァーは8/18(備前市)9/14(久世町)に続く3回目らしいが、主催の秋山さん(お医者さんでっせ)を初めとして全員アマチュアの40名の腕利きばかり。

 「ロマンス」はワタシにとって希少価値の「お気に入りのBeethoven」のひとつ。出ました一年ぶりの別嬪さん・鷲野さん(島根県安来高校の英語の先生〜前回はELTの持田香識と表現)〜この人、岡大響や岡響でコン・ミスもやってらっしゃたんですね。素敵なドレス(ペパーミント・ブルーだったっけ?あれ、違ったかな?)でね、女性は(おそらく着るほうも、見る方も)楽しみ。

 繊細で、やや緊張ぎみの演奏だったけれど、このやすらぎの曲をちゃんと聴かせるのは(きっと)たいへんなんですよ。技術的にはまったく問題はなくて、清冽な世界が爽やかです。アンサンブルはまだ「様子見」かな?余裕でしょ?この辺りの曲だと。ヴィオラが右端の配置ですね。

 次の有森さんが凄い。ショパン・コンクールを初め、あちこち入賞されて、バリバリの技巧派でしょ?まだ30歳台前半でしょ?地元の方(しかもオケ・メンバーとは昔馴染み)だそうで、なんやらリラックスした雰囲気で登場。硬質で明快な響き、完璧のテクニック、爆発する豊かな音量〜これはナマならではのド迫力で、正直唖然とするばかり。

 正直、ワタシはBeethoven のピアノ協奏曲は苦手方面で、ま、相対的に第1番は一番親近感有。ワタシの希望は「Mozart 方面」演奏だけれど、有森さんは「Liszt系」演奏なんですよ。狭い会場でしょ?眼前でこれをやられると金縛りにあう。逃げられない。音の渦に完全説得されて、それが快感に変化する。

 バックが上手い。オーボエの美しさ出色(女性だったと思うが)。弦のアンサンブルも完璧。しかも、微細なニュアンスが美しい。演奏終了〜会場騒然。アンコールやってくれまして、まず「英雄ポロネーズ」〜ワタシ、LIST編曲版(そんなんあるのか知らんが)かと思いました。もしかしたらRachmaninov 版か?スケールでかくて、もうバリバリ弾いてくれてドキドキしまっせ。もう一曲「エリーゼのために」〜これは極限抑制で微細に味付けしたクールダウン〜やはりこれも浪漫派の表現なんでしょう。


 休憩後、「英雄」です。ワタシにとって苦手系ではあるけれど、古今東西名曲中の名曲であることを認めるのに、些かの躊躇もなし。シンプルな2管編成(ホルンは3人)でしょ、この少ない人数の中からあのような強靱な音楽が生まれるのは何故か?冒頭の全奏和音がハッとするくらい、立ち上がりが良くて軽快です。(提示部繰り返しが嬉しい)

 両端楽章が早めのテンポで響きがもたれず、所謂昨今の「古楽器系」演奏風潮流れかと思います。旋律によけいな思い入れを付けないのはワタシ好み。縦の線が完璧に合っていて、基本イン・テンポだけれど、希に出現するタメの効果的なこと。編成故か、管楽器が大活躍です。どのパートも完璧な技術。

 ここでは第2ヴァイオリンが右端に来る「対向配置」になっていて、(普段気付かない)各パートが明快でした。「英雄」なんてクサるほど聴いている(ま、録音だけど)はずだけれど、初めて聴く音(ヴィオラのパートも新鮮!)が沢山出ていて、秋山さんの指揮を眺めていると、ド・シロウトでも「ははぁ、ここ裏リズムとパートを強調しているんだなぁ、効果的!」なんてわかった気になるから驚き。

 オーボエ・ソロ(ここでは男性)があちこち出てくるでしょ?まるでオーボエ協奏曲ですよ。「古楽器系」演奏風潮流れと異なるのはここでして、けっこう主張が明快なんです。フルート、クラリネット、ファゴットとの絡み合いも絶妙。全体の響きに溶け合う、ということではなくて、各パートが歌い合うんです。

 チェロ、バス、ティンパニの低音リズムセクションがもたれない。「ギーレン/ジンマンの世界?」〜違いますね。第2楽章「葬送行進曲」の思い入れ、第3楽章スケルツォのアツいノリ、これは若いメンバーならではのエネルギーと感情の発露でしょうか。

 終楽章。変奏曲でしょ。すべてのパートに腕の見せどころがあって、ホルンの雄叫びも文句ないし、フルートの細かい旋律もおみごと。ワタシはアマ・オケに技術水準は求めないが、音楽に対する真摯な思いとテクニックが合体すればこのような感動的なアンサンブルへ完成する。暗譜で指揮した秋山さんの明快なる指示も楽しみました。

 アンコールはTchaikovskyの組曲第4番(?自宅へ帰って、確認したらナントCDが存在しない。第1/2番はあるのに)でした。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi