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岡山交響楽団第32回定期演奏会


2000年11月23日(木)PM2:30〜岡山シンフォニー・ホール

ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
Bruckner/交響曲第7番ホ長調

加藤完二/岡山交響楽団

 招待券までいただいて(チェロのNさん、ありがとう)、昨年から演奏会の感想をHPに掲載し続けた甲斐があるというもの。祝日の昼間、というスケジュールは楽でありがたい。しかも意欲的な選曲、ワタシのお気に入りばかり。一階右上ボックスに陣取りました。今回も1,200人くらいのお客の入りでしょうか。

 加藤さんは関西を拠点に活躍されている若手のようで、アマ・オケの育成には定評があるらしい。なんとなくヒゲがユーモラスな感じで、指揮ぶりはスタイリッシュでわかりやすい。両曲とも金管勝負!で、岡響はじつによく鳴っておりました。これは指揮者の手腕でしょうか。岡山フィルはスッキリとしたアンサンブルで、どちらかというと上品な響きであるのに対して、岡響はやや荒々しく、元気よく演奏してくれるのが特質でしょうか。

 タンホイザー序曲は、Brucknerとの組み合わせとしてはピッタリで、濃厚な旋律と鳴りきった金管が気持ちがよい。あまりの気持ちの良さに、目をつぶって瞑想しておりました。(一部の人は「居眠り」とも呼ぶ。前日、遅くまでビデオを見ていたもので申し訳ない。許して)

 ワーグナーで瞑想していたのも、来るべきBrucknerに備えてのこと。(ウソばっかり)息の長い、シンプルで大掴みなハーモニーは女性が苦手とするところなのか、「女性にはBrucknerのファンは存在しない」という俗説は果たして本当なのか。こういった演奏会は女性が過半数で、ワタシの隣も若い女性群でしたから、様子を注目しておりました。

 冒頭、ヴァイオリンのトレモロに乗って悩ましい旋律が歌われるでしょ?あれ、チェロとばかり思っていたのですが、ヴィオラも参加しているんですね。ヴァイオリンが少々薄かったり、弦のアンサンブルが全体として粗かったりするものの、表情がいつになく生き生きしている。いつも指揮している杉本さん(今回はホルンで参加)も立派なものですが、客演の加藤さんは意欲的な表現。客演で新しい刺激が生まれるのかも。

 木管が上手い。フルートの女性(向かって右側のほう、二人とも女性だったので)の豊満な音色(ソバージュが素敵)、オーボエの明るく暖かい音色、クラリネットの的確な表現、感心するばかり。最初から最後まで一番信頼の置けるパートでした。もちろん、金管の分厚い響きにも感心しました。(タンホイザーのラストは、金管で瞑想から回復した)トランペット・ソロは優秀。

 Brucknerのキモであるホルンも文句なしですが、第1楽章で右側4人が寂しそうに下を向いて、なにも演奏しないのを不思議に思っておりました。(せっかく舞台まで出てきたのに)ところが、有名な第2楽章に至るとその正体がわかりましたね。ホルンが巻いていないヘンな楽器=ははぁ、あれがウワサのワーグナー・チューバか。珍しい楽器だし、この演奏会のために買ったんだろうか?それともレンタル?などと、へんな心配しました。

 ホルンとワーグナー・チューバは微妙に(というかかなり)音色が違うんですね。でも、これCDで聴いていたんじゃ区別が付きにくい。(楽譜とか、基礎知識があれば別)実演だと、ちゃんと音色の個性が味わえる。トロンボーンとの絡みで、さらに厚みを増す金管。とどめはドでかいチューバで、こいつが参加するとアンサンブルの重心がグッと下がるのがわかる。

 そういえばオーボエは3人いて、若い女性があまり吹かない。これ茂木さんの本を読むとわかるんですが、金管が圧倒的音量で迫ってくるとき、旋律を重ねて音の埋没を防ぐ人なんですね。アダージョにおける、例の打楽器〜シンバルとトライアングル(だからノヴァーク版か)〜ふたりは、勝負一回なんですね。これはこれでたいへんな役割。

 スケルツォはそうとうなノリで、この楽章が終わったら拍手が数人から出ました。(単なる勘違いと、長すぎるせいか)終楽章は、CDで聴くとまとまりがないように思えますが、実演だとそんなことはなくて、各パート(一番印象的なのは、やはり木管の短いパッセージ、目立つのは圧倒的に金管)の役割が明快に理解できて楽しめました。

 Brucknerのライヴは、1995年に博多で(学生さんのオケ〜どこか忘れた)第5番を聴いて以来2曲目。Brucknerは体調を整えて聴かないと、CDより実演のほうが長く感じます。不思議です。

 岡響、なかなか快調です。街の誇りです。ところで「Bruckner・ファン女性皆無説」の検証は、お隣の若い女性が、アダージョで居眠りしてたことでかなりの説得力を持ちました。しかし、あまりの気持ちよさに瞑想していた可能性も有。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi