「コンサートへ行こう」へ

岡大響 第48回定期演奏会


2001年12月8日(土)PM6:30〜岡山シンフォニー・ホール


ヴェルディ 歌劇「ナブッコ」序曲
秋山 隆 指揮

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調
崔 文洙(v)

チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調

保科 洋/岡山大学交響楽団  当日券800円

 ここ最近、体調が優れないし、音楽にどうも集中できません。でも、かなり回復してきたので岡大響の演奏会は欠かさず行きましたよ。たいへんなお客の入りで、3階席までほぼ満席。途中休憩中に席を離れたら、他の人にとられてしまって座るのに苦労しました。1,500人は入っていたかな?

 まずお医者さんの秋山さん登場。「ナブッコ」序曲は、冒頭のトロンボーンからはっとするくらい音が新鮮だし、4人の打楽器の迫力がすばらしい。ここ最近、岡大響は弦の人数には苦労していないようで、かなりの厚みがあって気持ちヨロシ。(これコンサートを通して感心しました)でも、ワタシ、この曲はあまり好きではない。

 「好きではない」なんていうワガママを言えば、チャイコフスキーもワタシの「苦手」代表選手なんです。でも、この演奏会ではすっかり目覚めてしまいました。(いろいろと)新日フィル・コンサートマスターである崔さんは、長髪茶髪でワタシより10歳くらい年齢下(んなこと、どうでもいいか)、当然ながらたいへんなテクニシャン。

 コテコテのロシア風粘着質旋律が重過ぎて、この曲は滅多に聴きません。でも、どうせ聴くならとことん粘り粘って演奏してほしい希望もある。まず、驚いたのが楽器編成が小さいことで、前曲ヴェルディより半分くらいの人数になってしまって、これ2管編成っていうんですか?

 演奏は、サラリとしてじつに聴きやすいもの。これは保科さんの作戦なのか、オーケストラが意外と淡々として、すっきり爽やかなんです。崔さんのソロは、鮮やかなテクニックが見た目も美しいが、やはり「ロシア風粘着質」からは遠くて、結果、ずいぶんとクールで新鮮な演奏でした。この曲が本来持っている美しい旋律を堪能しちゃいました。


 チャイコフスキーの交響曲は、ここ一年で計4曲聴いています。(第2番〜岡大響、第6番〜サンクトペテルブルグ響、第5番〜岡響、そしてコレ)人気があるんでしょう。もしかして演奏者にとってもやりやすいか、やりがいのある曲なんでしょうか。ワタシ、今回の演奏会で完全に目覚めました。上記の理由で、前列舞台間近に座りました。

 冒頭、「運命のテーマ」の金管群が少々乱れるが、すぐ立ち直って迫力存分。席が変わったせいで、オーケストラの音が一度天井までぶつかって帰ってくるようなもどかしさがあるし、一部金管が響かずに直接聞こえてくる違和感も有。つまり、各パートが音質的に響き合わない。(場所によって印象が変わる)でも、そんなことはすぐ気にならなくなりました。トレンディ・ドラマ伊藤英明風色男コン・マス率いる弦がすばらしい。やわらく、奥行きがあって。

 第2楽章なんて、クサ過ぎてたまらん旋律のはずなのに、しんしんと胸に迫りました。(嗚呼、なんて美しい旋律なんだ)オーボエもクラリネットも、フルートだって特別に色気のあるような音色ではないが、誠実で要所要所がピタリと決まる。ホルンがアンサンブルに深みを加えます。弦は抑えに抑えて、しずかにそっと、ていねいに歌っている。

 第3楽章の革新的な「ピツィカート」のみ演奏は、会場で見ているとドキドキしますよ。弦全員弓を膝に置いて(バスはそうはいかんが)、エキゾチックな雰囲気が高まります。途中テンポが変わって管だけになるのも興味深い。怒濤のピツィカート最盛部分でチェロが大きなアクションでかき鳴らす姿には痺れました。ピツィカート姿はバスが一番よく似合う。

 そのまま、終楽章に突入するでしょ?弦のメンバーは直前に弓を膝から取り上げるんですが、第2ヴァイオリンの前列の人かな?弓を落としてしまうのもドキュメンタリー。トランペットの怒濤の雄叫びもすばらしかったが、今回の演奏会のMVPは(おぼこい男性の)ティンパニでしょう。とにかくアクションがカッコ良い。リズムにアクセントがあって、アンサンブル全体の要なんです。

 正直、チャイコフスキーの4番でこんなに感動したのははじめて。保科さんは微妙なテンポの揺れや、効果的な休止が多用されていて、これはひとつのワザでした。なりやまぬ拍手に応えて、アンコールは白鳥の湖「ワルツ」。前回コウワ・バレエで岡響が演奏していたけれど、伴奏と演奏会では味付けがまるで違っていて、正直、演奏会で音楽に集中するなら保科さんの微妙な味付けが嬉しい。

 会場はブラヴォーの嵐。さ、明日は川崎記念管の演奏会です。昨年も連チャンだった記憶がある。 


【♪ KechiKechi Classics ♪】

愉しく、とことん味わって音楽を
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written by wabisuke hayashi