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第4回コウワバレエ公演「白鳥の湖」(全幕)


2001年8月25日(土)PM6:00〜岡山シンフォニー・ホール

第4回コウワバレエ公演「白鳥の湖」(全幕)

小嶋直也(王子)今村泰典(道化)岩本正治(ロットバルト)西山良実、東島未知(オデット姫)石井真緒(オディール)〜ほか、沢山の美しいバレリーナ

守山俊吾/岡山交響楽団

チケット代B席2,000円(でも、招待券をいただきました)

 まず、結論から。ハマりそうなくらい魅力的な公演で、中年のおじさんには縁の薄い、幻想的で美しい世界を堪能しました。いつものコンサートよりいっそう楽しくて、騙されたと思ってこの類の公演がご近所にあれば、ぜひ行ってみることをお勧めします。もう、最高。

 バレエ鑑賞は中学生の授業以来久々二度目。ほとんど記憶がないが、やはり「白鳥の湖」の抜粋だったはずで、ナマ演奏じゃなかったし(経費問題で・・・という先生の説明でした)、振り付けが気に食わなかった記憶有。岡山シンフォニーホールは超満員で、いつものコンサートとは客筋も違っていました。

 何十人も参加される生徒さんのご両親とか親戚が多かったのでしょうが、バレエ関係者(ほかのバレエ団やOBかな?)と類推される素敵な女性(観客比率90%以上。休憩中トイレには長蛇の列)がたくさん観客にいらっしゃいましたよ。容姿を云々するのは失礼かも知れないが、出演者も含めて、背筋が伸びて姿勢がよろしい方々が多いんです。(これは努力のたまもの)

 岡山交響楽団は、舞台下のボックスに陣取って、打楽器4人組(右手)以外は演奏姿が見えません。守山さんが登場して、まばらな拍手から序曲が始まりました。まだ、幕は開いておりません。まだ、会場では席を求めてかなりの方々がウロウロされていて、マナーが悪い!・・・と、いつもなら怒るワタシですが、これはどうもワタシのほうが少々間違っているらしい。(マナーが悪いのはその通りだけれど、コンサートとは風習が異なる・・らしい)

 バレエというと、女の子が習いに行くもの、といった印象があって、じっさい男性は少ないのでしょうか。舞台でも、女性群(全体の70%は占めている)はコウワバレエの方々だけれど、男性は客演でした。で、観客の90%が女性でしょう、王子の小嶋さん(新国立劇場契約ダンサー、だそう。その筋では有名な人なのかな?)が登場すると、思わず拍手!で、これは歌舞伎やオペラのノリに近い。

 ワタシ、バレエの基礎知識はないが、男性の踊りはジャンプの高さがあって爽快です。道化役(これ、ロシアの宮廷ものには必ず登場しますよね。ボリスとか)の今村さんは背も高いし、コスチュームも派手で見応え充分。王子が高速で回転するところなんて、観客女性陣が感極まって思わず拍手!って、こりゃお行儀正しい「クラシック・コンサート」にはない世界。

 全4幕で、幕ごとに10分間の休憩が入っていて、誰も知っている筋でしょ?各幕は大筋の流れを表していて、実際は数分単位のバレエのみどころを連続させて、まったく飽きさせません。衣装が美しくて、第1幕の淡い黄色、ピンク、ブルーの集団は幻想的だし、第2幕以降に登場する白鳥達の衣装は誰でも知っている例のやつ。(ワタシみたいなド・シロウトが想像するバレリーナって、あのイメージでした)

 あの振り付けは、基本パターンが決まっているのでしょうか。中心になって踊る方(または複数)の華やかさはもちろんだけれど、回りを囲む大勢が時に談笑しているように見えたり、白鳥のシーンのようにほとんど動かず、要所で姿勢を変えたり、バラバラ(というか順繰りに計算された)動きで、主役達を盛り上げるところにも注目。

 有名な第2幕「小さな白鳥の踊り」は、トロカデルロ・モンテカルロ・バレエでしたっけ?男性がユーモアたっぷりに踊るテレビ宣伝と同じだったと思うのですが如何?(もちろん、こちらのほうがとても可愛らしいが)まだ、やや小さめな女の子もたくさん出ていて、あれは父親にはたまらない世界と想像が付きますね。

 ロットバルト役の岩本さんの悪役ぶりは板に付いていたけれど、オデットの偽物であるオディールも充分美しくて、悪役なのに、観客は盛大な拍手を送っていました。これ、バレエのよいところですね。ワタシの席は1回のど真ん中、やや後ろ方面だったので、誰が誰やら(知っている人はいないが)さっぱりわかりませんでしたが、みな美しくて、例えばオデット姫(第2幕と第4幕では違う人が踊っていたらしい)の華やかさも「動き」で表現されていて、感動します。

 さて、音楽は?演奏がはじまっても会場がざわついてるし、幕が開いて初めて本物の拍手がわきあがる。見せ場では、当然拍手が沸き上がるし、終幕では、まだ音楽が鳴っているうちに盛大な拍手が沸き上がる。これ、オペラの感覚に近くて、主役が歌い出す幻影を見ました。つまり、管弦楽はあくまでサブなんです。

 唯一姿が見える打楽器4人組は、まったくカッコウよろしい。とくにワタシに招待券を下さったティンパニのM女史が、ウンとカッコウ良い。リズムのキメ、がピッタリで文句なし。バレエ音楽のイメージ一新。CDじゃなくて、DVDで見るもんなんですね。

 テレビでヒップホップなんかの踊りが流行っているでしょ?あれは、やはりこういったクラシック・バレエの基礎(鍛えてますねぇ、みなさん)に成り立っていることが理解できました。コウワバレエ本部は、偶然にも我が家のご近所だし、何かの縁で、こういう素敵な世界とふれ合えるのも人生の楽しみでした。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi